部品供給の日本企業はどうなる
このようなボロボロの経済状況のところに、今回のギャラクシーノート7騒動。その少し前には韓国の海運最大手、韓進海運が経営破綻をしました。新卒一括採用のある韓国でも、学生の新卒就職については、どう考えても悪影響であり、好転する見込みは全くありません。
ノート7の生産・販売中止は、サムスン電子だけでなく、関連の部品メーカーにとっても大打撃です。新卒の採用中止どころか、倒産するところが出てきてもおかしくはありません。
ノート7には「村田製作所やTDK、アルプス電気などがサムスンのスマホ向けに部品を供給しているとみられる」(日本経済新聞2016年9月3日付朝刊)。
こうした日本企業は、どうでしょうか。
結論から言えば、新卒採用に若干の影響は出るかもしれません。が、ノート7騒動がきっかけとなって日本も就職氷河期に転じる、という可能性は相当低いものと思われます。
と言いますのも、日本経済新聞記事に出た、村田製作所やTDKなどは、いずれも世界トップクラスの部品メーカーです。この「世界トップクラス」というところがポイント。その高い技術力ゆえに、スマホであれば、アメリカでも韓国でも、どの国のメーカーでも軽視できません。
サムスンのノート7が売れなくても、その分アイフォン7が売れれば、日本の部品メーカーは利益を出すことができます。もしアイフォンの売上げが鈍れば、日本勢なり、欧州勢なりと取引すればいいのです。これは、部品メーカー大手だけでなく、中堅どころや、関連の機械系商社も同じです。
日本は、大企業と中小企業で賃金格差があるとは言え、韓国ほどにはひどくありません。また、新卒採用については中小企業でも正規雇用での採用が基本となります。
以上の点から、ギャラクシーノート7騒動は、日本の新卒採用に、ほぼ影響がないものと思われます。(石渡嶺司)