「#プラダ戦利品」とはわけが違う
「しまパト」なる秀逸な造語を考えついた人は誰なのだろう。「#しまパト」「#しまむら戦利品」のハッシュタグさえつければ、「基本的に安物を売っているお店」に行く日常を示すことで、庶民派アピールができる。「私なんて、しまむらを定期的に『パトロール』しちゃうくらいだから、庶民のヒマ人なんですよ。こーんな安い娯楽で満足できちゃうんです」と、軽い自虐もかませられる。
そして「戦利品」である。「#プラダ戦利品」と「#しまむら戦利品」ではわけが違うのだ。しまむらはネット通販をしていないこともあって、「今ここで買わなければ売り切れてしまうかも」と謎の競争意識をあおられ、購入を即決しやすい。980円均一のワゴンに群がる人混みから、売り切れ寸前のアイテムを文字通り「掘り出す」作業は、ちょっとした戦場である。そんなことに夢中になってしまった自分を軽く嗤うセンスも、「#戦利品」には含まれているのだろう。
ゆっくりブティックを歩きまわり、店員にお茶を出され、優雅に買い物をする高級ブランドには「#戦利品」ハッシュタグが似合わない。どちらで買うのが正しいわけではないが、とにかくしまむらには「パトロール」という軽い自虐や、掘り出し物をゲットする喜び=「戦利品」の表現がピッタリ。戦いに勝利した味はクセになる。
だから今日も女たちは「しまむら」へと足を運ぶのだ。もちろん私も。(北条かや)