会議の時間は支出額に反比例する
端的に申し上げると、会議出席者は全員、社長を筆頭とする周囲の目を気にするあまり、報告を含め自分が意見を言いやすい場面でしか意見を言わず、結果として議論すべき重要なテーマに対する意見交換は不十分に終わっている、ということです。
実はこの現象、古くから「パーキンソンの凡俗法則」として知られている組織障害のひとつなのです。
この法則を簡単に説明する際に使われる事例に、次のようなものがあります。ある会議で、原子炉建設に関する議題と自転車置き場についての議題の2つが出された際、より専門的な知識を要する原子炉建設は、ほとんど意見が出されることなく可決され、一方の自転車置き場の件は、参加者から様々な意見が出され、結論が次回に持ち越された――。
自分がよく知らないことについては、たとえそれが自分にとって重要な議題であっても、恥をかきたくない、評価を下げたくないという気持ちから発言を控える傾向があり、一方、議論しやすいテーマ、自分の意見を言いやすい話題については積極的に発言する傾向がある、というのです。パーキンソンは、この現象を「一議題の審議に要する時間は、その議題に関する支出の額に反比例する」と表現し、「凡俗法則」と名づけました。
すなわち、会議参加者は恥をかきたくないから、「議題に関する担当部以外からの意見が出ない」「どうでもいい話でばかり盛り上がる」という現象が起き、結果的に報告と社長の演説に終始する会議になってしまうのです。
では意見が出ない会議はどうしたらいいのでしょうか。経営者から直接ご相談をいただくケースも非常に多いのですが、一番簡単な方法としていつも私が申し上げているのは次のような具体策です。