歌舞伎町はモノとヒトを売る街 スカウトマンはさみしげに笑い

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   女だからこそ聞きやすい話と、そうでない話がある。

   デビュー作の『キャバ嬢の社会学』以来、今でも東京の繁華街で水商売関係者の話を聞くのをライフワーク(と胸を張って言えるほどのものではないが)としている筆者は、この夏、スカウトマンを中心に聞き取りをしていた。私は「女」なので、最初に接触しやすいのは圧倒的にホストやスカウトマンである。妙齢の女性とあらば誰にでも声をかける彼らは、向こうから寄ってきてくれるので話が早い。親しくなったらこちらの身分を明かし、「歌舞伎町の儲かる話」を教えてもらうというわけだ。

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「お仕事探してませんか?」

   スカウトマンとは、簡単に言ってしまえば、女性に声をかけて風俗の仕事を紹介する人たちである。繁華街を歩けば、「お仕事探してませんか?」とか「おきれいですね、これからお仕事ですか?」とか、ニコニコと声をかけてくる。

   運よく女性と合意がとれ、キャバクラや性風俗店に入店させることができると、店からは女の子を紹介した見返りに、「バック」といって女性の給料の約10%がスカウトマンの懐に入る。女性が働き続ける限りバックも入り続けるので、有能なスカウトマンは毎月数十万円~百万円以上の報酬を得ることも珍しくない。 

   完全歩合制なので、女性を店に紹介できなければ報酬はゼロ。厳しいノルマが課される場合もあるので、とにかく母数を稼ごうと、道行く女性に声をかけまくるのである。歌舞伎町には大手から中小までいくつものスカウト会社があり、多くのスカウトマンはそのどれかに所属している。「僕の会社は歌舞伎町で誰でいちばん大きい組織なのが売りですね。ガールズバーからAVまで、どの業種でもご紹介できますよ」「うちは小さい会社ですけど、全国の風俗を紹介できるのが強みなんで」

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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