何事にも囚われるのはよくない ボーっと楽しめばいい(ライフネット生命・出口治明)

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人の意見が役に立つんかい

   僕は、気の合う仲間とグループ旅行に出かけることも多いのですが、それ以来写真は撮らない、カメラは持たない、物は買わない、という流儀です。空港で携帯の電源を切り、そこからはひたすらボーっと楽しんでいます。写真なら、だれかが撮ってくれたものを後で分けてもらえばすみます。「二度と来ないんやから」そこでしか見られない光景を目に焼き付け、仲間との交流を大いに楽しめばそれで十分です。

   「情報」にもあまり囚われないことです。

   何かおいしいものが食べたいな、と思ってホテルの人に聞くと、たいてい「うちのレストランが美味しいですよ!」となるので、「近くの」と改めて聞くと、「じゃあ、こういうところがあるよ」と教えてくれます。ぶらぶら歩いてボーっと町中を見ていたら、なんとなく分かってきます。

   地元の人がむすっとした表情で食べている店、何人かでげらげら笑いながら楽しそうに食事をしている店。2軒、3軒と自分の目で確かめているうちに、ここという店が決まります。そうやって入ってみて、多少失敗することがあっても、それはそれでいいじゃないですか。

   ガイドブックを頼りにする人もいるでしょうが(ミシュランはさすがに外れが少ないことは認めますが)、僕は「人の意見が役に立つんかい」と鷹揚に構えて旅を楽しむことにしています。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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