九州旅客鉄道(JR九州)が2016年10月25日、東京証券取引所第1部に株式を上場した。売り出し価格の2600円に対し、500円(19.2%)上回る3100円の初値をつけた。発足から30年目で完全民営化された。
「ななつ星」で観光需要取り込み
1987年の旧国鉄分割・民営化で発足したJR7社の株式上場は、東日本(1993年10月)、西日本(1996年10月)、東海(1997年10月)に次ぐ4社目。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有していたJR九州の発行済み株式1億6000万株すべてを放出した。
時価総額(初値ベース)は4960億円。2016年に上場した企業では、1兆円を超えたLINEに次ぐ2番目の大型上場となった。10月26日には、福岡証券取引所にも上場する。
JR九州は、本業の鉄道事業で赤字が続いていたが、2011年3月の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業や、13年10月に投入した豪華寝台列車「ななつ星in九州」などで観光需要の取り込みに成功。鉄道以外の事業の多角化を推進し、駅ビルやマンション・ホテル、外食、小売り、農業などに事業領域を広げ、「稼げる体質」への転換を図った。