性格合わなくても心開いてみろ それが上司と付き合うコツ(江上剛)

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「仕事はできるけれども、どうも尊敬できない上司がいます。どう接すればいいのでしょうか」

   あなたの質問はおかしくないか? 仕事ができるのに尊敬できないってどういうことなのかな?

   あなたは仕事をしているんだろう? だったら仕事ができる上司は尊敬の対象になるだろう。私は、若いころは仕事のできる上司の煙草の吸い方まで真似をしたものだ。その人になりたいと思ったからね。

仕事は全人格的なところがある

心を開いていい関係を結ぶ
心を開いていい関係を結ぶ

   尊敬できないというのは、例えば金に汚いとか、服装が乱れているとか、セクハラ、パワハラ三昧だとか、その上司の私的な性格、態度に問題があるのかな?

   あるいはゴマすり? 部下の成果を横取りする? あなたと性格が合わなくて何かといじめる?

   言っておくけど、仕事って全人格的なところがあるから、ただ単に成績をあげるからいいってものではない。上司として部下を育てなければならない。部下を育てるには、部下の尊敬を得なければならない。

   スポーツ選手がコーチから厳しい特訓を強いられて、その時は、鬼と思っていてもオリンピックで金メダルを取ることができれば、そのコーチは鬼には見えなくなる。あの厳しい特訓は、この栄光のためだったのだと感謝するだろう。

   特訓中は、選手たちは気付いていないかもしれないが、厳しい特訓についていくにはコーチに対する尊敬が絶対に必要だ。尊敬しない、軽蔑しているコーチの厳しい指導なんて受けられるはずがない。

上司に好かれない部下は不幸だ

   あなたのいう仕事ができるが、尊敬できない上司は、本当の意味で仕事ができないのではないだろうか。

   尊敬できない理由をよく考えてみよう。それが金やハラスメントが原因なら会社のコンプライアンス部門に告発しよう。

   そんなことじゃなくてなんとなくの性格の不一致なら、それはあなたが心を開くべきだ。

   上司だって人間だ。部下に対する好き嫌いはある。どうしても好きになれない部下がいるんだ。そんな部下はものすごく不幸だ。どんなことをしても上司に嫌われる。

   私の先輩は、どうしても性格の合わない上司と飲んだ席で、その太ももをピシャリ、ピシャリと叩いた。

   すると怒るか思いきや上司は大喜びして、先輩と仲良くなった。上司は、皆から怖がられていて、部下が相手をしないので寂しかったようなのだ。それで先輩が叩いたことがうれしかったみたい。

   なんだか変態みたいだが、自分から心を開け! これが上司と付き合うコツだ。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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