人気の秘密は各社異なる...
だが、人気の秘密はほかにある。証券会社の個人向け国債キャンペーンだ。ネット証券と大手証券などで額に差があるものの、購入金額に応じてキャッシュバックを受けられるのだ。
100万円以上の購入が対象という会社が多いが、個人向け国債の購入自体は1万円以上1万円単位、年12回募集している。
たとえば、Aネット証券で個人向け国債を100万円購入すると、キャッシュバックは2000円。500万円で1万円、1000万円で2万円。
B大手証券は100万円で3000円、500万円で2万円、1000万円で5万円。大手証券のほうがネット証券より金額が大きく、増加の幅も大きい。
また、中途売却には条件があるが1年経てば可能で、キャッシュバック分を返す必要はない。1000万円で5万円のキャッシュバックを受け、1年で売却すると、実質年0.5%の金利がついたのと同じ。購入者には魅力的だ。
では、キャッシュバックの原資はどこからくるのか?
国は金融機関に、額面金額100円につき40銭あるいは50銭の「募集発行事務取扱手数料」を支払う。金融機関は売れば売っただけ、0.4%あるいは0.5%の手数料をもらえるわけだ。メーカーの販促金を原資にして値引きする家電ディスカウント店と同様である。
タンス預金や銀行預金よりマシとはいえ、最低の利率をもらうよりキャッシュバックに目が行くのは当然のなりゆきだ。(阿吽堂)