地味社長の変身阻む「裏の目標」 その「見える化」で明るく?

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   監査法人に勤める会計士のTさんに紹介された、とある老舗上場企業の3代目S社長。Tさんからは、「すごく優秀な経営者なのだが、内にも外にもアピールが下手。だから会社は実態以上に地味なイメージです。本人も自分を変えて会社のイメージも変えていきたいとおっしゃっているので、いいアイデアがあればその手伝いをしてあげてほしい」と言われ、お訪ねしました。

  • 人には「表の目標」と「裏の目標」がある
    人には「表の目標」と「裏の目標」がある
  • 人には「表の目標」と「裏の目標」がある

「やはり自然体がいいな」と

   実際にお目にかかると、一見して「なるほど」と頷ける地味な出で立ちでした。グレーの、やや着古した感が漂うスーツに、グレーのネクタイ。ワイシャツも白地に薄い柄の入った既製品でした。Tさんからの依頼もあり、あえて直球質問をぶつけてみました。

「初対面で大変失礼ですが、お見かけしたところ大変地味な風貌といった感じがするのですが、社長ご自身お好みのスタイルでしょうか」

   S氏は私の不躾な質問を気にする風もなく、こう答えます。

「はい。地味だと言われますね。秘書からも、家族からも。社長は会社の顔だから、もっと明るい服装にしてほしいとか、宴会の席でどさくさ紛れにハッキリ言う女子社員もいたりして、自分でも変えてみようと何度か思ったものです。でも周りの目がどう思うか。服装なんか気にして、などと思われるのが嫌で。自然体がいいなとやっぱり思うのです」

   どうやら日常の服装から手をつけるのはハードルが高そうだ、と思った私がその場で思いついた提案は、プロのスタイリストを付けて写真を撮りませんか、というものでした。撮った写真を名刺や会社案内、ホームページに使って、まずその辺りから変えてみる。少なくとも名刺に明るい服装の写真を入れれば、本人も毎日目にするでしょうから、次第に名刺のイメージを基準にした服装に近づけようとするのではないか、と思ったのです。

   しかし、きっぱりと断られたわけではなかったものの、「僕はそもそも写真を撮られるのが嫌いでしてね。考えさせてください」と、その場での応諾は得られませんでした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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