アルファベット言えない―26% せめて習ってから海外出ようよ

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   ワーキングホリデー協会が行った「ワーキングホリデー渡航前の英語力」というアンケート調査に、衝撃の結果が出ました。英語力を問う質問で、

   アルファベットが全て言える 74%

   これはヤバイです。

中学1年1学期のレベルも

おいおい、26しかないんだぜ
おいおい、26しかないんだぜ

   おい、アルファベットは26文字、大文字小文字合わせても52文字しかないぞ! 小文字の「q」とかが怪しいんでしょうか? 中学1年生の1学期レベルもクリアしていない人が26%いるということです。

   参加者の83%が「英語が伝わらなくて苦労した」と回答していますが、まあ、英語が完璧な人はわざわざワーキングホリデーに行かないと思うので問題ないでしょう。しかし、「アルファベットが満足に言えない」と自己申告しているような人は、当然「英語が話せる」というレベルから遠く離れているのでしょう。英語を学ぶために海外に行くにしろ、中学1年レベルの学習は日本でしておいたほうがいいと思います。

   そんな、英語力の人が海外に行ってどうにかなるもんでしょうか?

   実は、私がカンボジアでやっている研修プログラムでは、英語力不問! とうたって研修生を集めています。実際に英語が全く話せない人もカンボジアに来て、カレー屋を運営する研修を受けています。そういう人の行動をたよりに、外国語が喋れないで海外に行くことについて考えてみましょう。

たいていのことは何とかなるが

   まず、英語がほとんど喋れない状態で海外に来て、生活ができるか問題。実はこれ、結構生活できてしまいます。

   例えば、日本で日本語を全くしゃべらないで日常生活を送ることを想像してみてください。コンビニやスーパーで買い物をする、レストランで食事をするといった時にまともな会話をする必要はありません。海外でも、だいたい同じで、日常生活は言葉がなくても何とかなるものなのです。

   しかし、問題はトラブルが起こった時。停電した、水道管が破裂した、風邪を引いた、など生活にトラブルはつきものです。その時、業者に電話するなりメールするなり店に行くなりして、起こっている問題を伝え、対応してもらわなくてはなりません。

   そのような場合も、よほど緊急性のある時以外は、スマホを使えば何とかなります。Google翻訳を使って、日本語から英語(現地語)に翻訳したものをスタッフに見せれば、だいたいなんとかしてくれます。Google翻訳の翻訳内容は正確ではありませんが、病院に行って「Fever(熱)」という文字を見せられれば、スタッフの人は「ああ、熱があるんだな」と判断してくれますので。

   なので、あらかじめ「このような問題があったときにはここに連絡する」というリストがあれば、言葉ができなくても何とかなります。テクノロジーの進歩は素晴らしいです。

   このように生活はできるのですが、ワーキングホリデーの参加者は必ずしも生活だけをしに行っているわけではありません。現地で働きながら、現地でしかできないことを体験し、何かを学ぶために足を運んでいる人がほとんどだと思います。この「現地でしかできないことを体験し、学ぶ」という点において、日本語しかできないのは決定的なハンディキャップになります。

英語を使う仕事が与えられない

   我々の研修プログラムでは、店を準備したり、現地人スタッフを雇ったり、何をやるべきかの指示を出したりということは、運営側がやります。最初のうちは、出されたミッションに答える形で慣れていき、だんだん複雑なことをやっていくというステップアップ方式になっているので、英語ができなくてもそれなりの体験ができます。

   しかし、自分でワーキングホリデーに行く場合、このようなお膳立てはなく、一から自分でつくらなくてはいけません。まずは、働く場所を探す必要があるのですが、日本語だけで探せる範囲に「現地でしか体験できないこと」をやらせてくれるところは少ないです。

   さらに、店は従業員として雇うわけですから、英語ができない人に英語を使う仕事を任せることはありません。言葉を話さなくてもできる皿洗いや農作業、日本語だけできればいい日本食レストランのホールや、日本人向けお土産物屋の店員の仕事についてもらうことになります。

   店としては、研修させるために来てもらうのではなく、スタッフとして店に利益をもたらしてもらうために雇うのですから当たり前です。そうすると、「それって日本で働くのと何が違うの?」という話になってしまいます。このように、英語ができない状態で海外に来た場合「お金を払って生活をする」経験はできますが、「お金をもらって働く経験を積む」のは難しいのです。

   ワーキングホリデーは「お金をもらって働く経験を積む」ことができる、非常に便利なしくみです。しかし、そのためには、自分に「お金を払ってもらえるだけの価値」を付ける必要があります。アルファベットが全部言えることはもちろん、ファストフードの店員に求められるくらいの英語力を身につけてから行くと、よい経験ができるのではないかと思います。

   一部の国では35歳までワーキングホリデービザがとれるように法律が改正されたので、焦ることはありません。ちゃんと準備して行きましょう!(森山たつを)

サムライカレープロジェクトのご案内

   海外で失敗体験を積める研修プログラム、サムライカレープロジェクトの無料説明会を、11月、12月に開催します。観光庁表彰、多摩大学単位認定科目にもなったプログラム。大学生・若手社会人の方のチャレンジをお待ちしています。

   今週末2016年10月22日(土)、博多(福岡市)でも開催!

   また、大学関係者向けの、海外研修の効用をお伝えする交流会も企画しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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