今回のテーマは「周回遅れの2017年卒就活」です。現在の4年生ないし大学院修士2年生(短大2年生も)については、2016年7月11日の「夢は夢として後半戦に臨もう 敗者復活を支援するシステムも」と2016年6月13日の「第一志望にふられ岐路に立つ学生よ 再アタックもいいが進むべきはこの道」で取り上げたのですが、もう1回。
周回遅れの学生に3グループあり
というのも、実際のところ世の中はぼちぼち2018年卒就活向けのイベントについて動いているので、私が軽い気持ちで、
「18卒就活がそろそろ動き出す今日この頃~」
という一文をメールに入れたところ、大学関係者から、結構な数の苦情が来ました。
「そりゃその通りなんですが、現4年生の17卒就活だって、まだまだですよ」
というわけで、周回遅れの就活生についてもう一度、解説します。
取材すると、10月上旬時点で2~3割がまだ就活継続中、との回答が多数ありました。
どういった学生が就活を継続しているのかというと、これは3グループに分かれました。「積極的出遅れ」「高望み失敗」「引きこもり寸前」です。
「積極的出遅れ」は、国家公務員志望、海外留学からの帰国、大学院志望・資格試験(司法試験、税理士など)からの転向、ゼミ活動や体育会活動で夏頃まで身動きが取れなかった、など。積極的な理由があって就活をしてこなかったのが、このグループです。
「高望み失敗」は、3年生の夏・秋ごろから就活を続けているものの、大企業しか受けていません。あるいは、業界をマスコミ、スポーツ、アパレル、航空などと限定して考えすぎた結果、失敗しているのが特徴です。
逆求人型サイトがお勧め
「引きこもり寸前」は、就活に限らず学生生活の行動力が一番低いグループです。就活をやっている学生もいなくはありません。ただ、それも数回エントリーをした、説明会や選考に参加したがそれだけで息切れしてしまった、という程度です。
3グループに共通して言えるのは、これから就活への行動量を増やさなければならないことです。そのために、リクナビやマイナビなどこれまでの就活サイトだけでなく、逆求人型サイトへの登録をお勧めします。
逆求人型の最大手である「JOBRASS(ジョブラス)」、最近急成長中の「OfferBox」、それから分野限定の「アスリート就職ナビ」、「ラガキャリ」(ラグビー部限定)、「美大芸大就活ナビ」などに登録し、利用するといいでしょう。逆求人型サイトに登録すれば企業側から選考参加のオファーが届きます。
特に17卒採用を考えている企業は、採用予定者数がまだ到達しておらず、焦っています。何しろ、残り半年を切っています。選考オファーを出す、ということはそれだけ企業側も真剣ということです。
逆求人型サイト以外に、各大学のキャリアセンターや新卒応援ハローワークも活用すべきです。キャリアセンターには、ピンポイントでの求人情報が飛び込んできます。新卒応援ハローワークも同様です。どちらも周回遅れの学生の対応に慣れているところが大半。臆せずに利用するといいでしょう。
危険な「高望み失敗」組
3グループのうち、就活の行動量を増やせば比較的あっさり決まるのが「積極的出遅れ」グループ。よほど、企業をえり好みしなければ問題ありません。
それに比べ、「高望み失敗」組は、やや危険です。行動量がそこそこ多かったとはいえ、志望していた大企業や業界へのあこがれを引きずり、失敗のコンプレックスが強すぎます。力が及ばなかった、という現実を受け入れたうえで、改めて企業選びをしていくしかないでしょう。就活の基礎知識は身に付いているので、企業選びの考え方を変えれば、このグループも比較的決まりやすいです。
いちばんずるずる行くのが「引きこもり寸前」。潜在的な学力は低くないのにメンタル面の弱い学生が多すぎます。このグループの学生に必要なのは、小さくてもいいので就活のイベントや企業セミナーなどへ手当たり次第に参加していくことです。何なら3年生向けガイダンスに出てもいいでしょう。少しずつ意識を変えていけば、視野が広がります。こつこつと選考参加をして、内定を勝ち取るしかありません。
イベント・セミナーに参加して「あれが無駄だった、これが無駄だった」「ああしておけばよかった」と後悔するのはアウト。本人も家族もそう考えがちですが、かえってドツボにはまるだけです。それよりは、「今日はこれができた、あれもできた」とプラスの点を数え上げること。小さなことでも、積み重ねていけば結構意識が変わるのではないでしょうか。(石渡嶺司)