専門性もたない総合職は哀れ 自分の将来を厳しく見つめよ(江上剛)

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職員の一言に思い知らされた

   会社ではスペシャリストかゼネラリストかと悩む人は、入社の時に自分の人生設計をぼんやりとでも描いてみることだろう。親の介護や地元の仲間、祭りなどが気になるなら地域特定職、将来独立したいならスペシャリスト、出世したい、海外で活躍したいならゼネラリストだ。

   ただ私の尊敬する、ある経営者が言ったことは気に留めといたほうがいい。

「日本企業はゼネラリストを作りすぎる。結局、彼らはなんの専門性もないから、まったく役に立たない。ゼネラリストといって、ただエリート然としていろいろなポストをめぐるようではだめだ。真のゼネラリストは、スペシャリストでなくてはならない」

   まったくその通りだ。私も営業、人事、監査などを経験したが、なんのスペシャリティも身に付かなかった。ただ経験をしただけだった。そのことを思い知らせたのは、ハローワークの職員の一言だった。

「人事部にいたっていうけど、人事制度は作れるの? 福利厚生制度は? 年金制度は? 何もできないんじゃ役にたたないね」

   こうならないように会社員人生の将来を厳しく見つめて暮らしてほしい。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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