1日5000円でヒモを飼う快楽 男の生活支え満たされる日々

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   私にはヒモが1人いる。ヒモなんて言わずに「男性を1人養っている」といえば格好良いが、家賃はじめ彼の生活をまるごと引き受けているわけではない。ただ、会うときの資金源はすべて私であり、さらには交通費も支給しており、小遣いもあげているので、「ヒモ」くらいの表現は許されるのではないか、と本人に聞いてみたら、ヒモ自ら「いいよ」と許可を出してくれた。今回はそんな「愛すべきヒモと生活する楽しさ」を紐解いてみたい。

  • ついておいで
    ついておいで
  • ついておいで

正直「悪くない」と思った

   彼が私の生活にスッと入ってきたのは、数か月も前のことだったろうか。ときどき食事へ行く仲であったが、いつの間にか部屋にいつくようになった。

   はじめて「ただいま~!」と言って、仕事から帰ってきたときの衝撃は忘れられない。「ここはアンタの家なのか?」と怒ってみたが、正直「悪くない」と思ったことを告白する。ヒモ体質の男性は、相手の生活を「邪魔しない」のが上手いのだ。なし崩し的に、彼は私の生活に馴染んでいった。

   私の部屋から仕事へ出かけていくようになった。彼の仕事は正社員ではないので、収入はおぼつかない。が、もともとヒモ体質らしく、多くの女性から貢がれていたので、服装や持ち物、女性に対する礼儀などはしっかりしていた。ひとつのカバンに、歯磨きから整髪料から毛抜きまでがコンパクトに収められていて、あとは女がTシャツでも貸せばすぐに泊まれる「ノマドぶり(?)」には参った。

   さらには家事が得意で、掃除から洗濯まで完璧にこなすのである。仕事の愚痴も聞いてくれて、私をたびたび褒めてくれる。仕事のストレスがあった私は、彼との生活で正直、かなり助けられたと思う。これでは居候も断れない。

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
姉妹サイト