ほめない社長に叱れない上司 難題に光明与えた逆転の発想

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どちらも意味を履き違え

   まず、叱れない上司。

「叱ってしまうと、人間関係が悪くなってしまうのではないかと懸念する」
「叱り方の度合いがよくわからない。行き過ぎてしまう心配がある」
「叱ることの必要性がみえない」

   次にほめられない社長。

「ほめるようなことが見当たらない」
「ほめて調子に乗られることのほうが心配」
「変にほめると、ほかの社員から依怙贔屓(えこひいき)をしているように思われそう」

   はっきり言ってどちらも「叱る」「ほめる」という言葉の意味を履き違えているように思いました。つまり「叱る」については「怒る」との履き違えが、「ほめる」については「おだてる」との履き違えがあるのではないか。どちらも現実をきちんと見据えた上での理性的行為であるべきところを履き違え、現実から逃げ、私情に流されているのではないかと思わされることが実に多いのです。

   では意味を履き違えた原因はどこにあるのか。普段の彼らの言動と合わせて考えてみて、結局のところ両者とも自分目線でしか物を見ていないという共通点に行き着いたのです。

   叱れない上司は、自分が嫌われたくない、嫌な思いをしたくない、自分が上から叱られたくない、という自分目線。ほめられない社長は、自分の評価基準からはほめるに値しない、自分はそのとばっちりを受けたくない、という自分目線です。

「そうやって考えると、『叱れない』も『ほめられない』も結局は同じ原因なのですよ」

   私がIさんにそう話をすると彼は、「自分目線ですか。要するにリーダーシップの欠如ですね...」とうなずきながら、ひとつの新たな気づきを得たように続けました。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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