サンマの缶詰で「足るを知る」 そんな30代に私はなりたい

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「背伸び支出」は20代まででいい

   20代のうちなら、ボーナスで恋人と高級ディナーを楽しむとか、高い店で散財してすっきりするとか、思い切った経験をしてもいいと思う。先輩に美味しいものを奢ってもらう機会もあるだろうし、初めて有名レストランを予約するワクワク感もいいだろう。が、そういう「背伸び支出」は若い頃だけで十分ではなかろうか。

   よく、何歳になっても「デートでファストフード店に連れて行かれるのはイヤだ」とか、「食費にお金をかけないと、かえって健康に悪い」、「高いものを食べるのは自分への投資だ」と主張する人がいるが、まったく「背伸び」の方向を間違えている。

   別に毎日マクドナルドや牛丼を食べろというのではない。安くても美味しいものを楽しむ「つましさ」を身につけ、相手を選ぶ眼力を養ったほうが、人としての選択肢が広がるのではないかと思う。背伸びばかりしていると足が疲れる。

   私の知人に、とても魅力的な30代女性がいる。有名企業に勤めるキャリアウーマンだが、まったく自慢たらしいところがない。先日、夜遅くに彼女の自宅マンションへ遊びに行ったら、「夜食にどう?」と、サンマの缶詰とご飯でパパっとチャーハンを作ってくれた。これがまたウマいのだ。彼女の笑顔もあいまって、高級ディナーの何倍も温かい食卓だった。

   こんなおもてなしができる30代になりたいと思ったものだ。食事はその人をつくる。サンマの缶詰だけでも、温かい食卓はできるし、私は「グルメ自慢」をするプチブルおじさん、おばさんよりよっぽど、そういう人のほうが魅力的だと思う。

(北条かや)

北条かや
北条かや(ほうじょう・かや)
1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。近著『インターネットで死ぬということ』ほか、『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』などがある。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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