2016年4月6日、フランスで買春行為に対する歴史的な法整備がなされた。買春禁止法案が可決され、性的サービスに対価を払うなどした場合、違反者として罰金が科せられ、売春者の置かれている状況について学ぶ講義を受けなければならなくなった。
フランスで活動する、売春・風俗・水商売による人身売買や暴力などのトラブルから女性を守る団体「Le Mouvement du Nid」は、大手広告会社McCann Parisと組んでトラブルの実態を買春する側の男性に伝えるキャンペーン「Girls of Paradise」を実施した。その模様を紹介する動画がショッキング。
ご指名の女性はすでに......
キャンペーン用に用意されたサイト「Girls of Paradise」は、一見すると普通の出会い系サイト。下着姿のセクシーな女性の写真がずらりと並び、気に入った女性と電話またはチャットができるような感じになっている。サイトを訪れた男性は好みの女性を選び、電話をかけてみる。しかし電話に出るのは、ご指名の女性ではなくキャンペーンスタッフで、男性にこう告げる。
「あなたが希望した女性は今夜、都合がつきません。彼女は別の客と会っていたマンションで、死んでいる状態で見つかりました」
客が「No!!!!(なんてことだ!)」と絶句すると、
「彼女は客に53回も刺されて死亡したのです」
と畳みかける。
希望した女性とチャットをしている場面では、女性から「Do you wanna see other pics?(ほかの写真も見たい?)」と問われそれに応じると、だんだんと血まみれになっていく女性の写真がいくつも送られてくる。そして最後に、
「私はすでに死んでいます。客から何回も刺されて殺害されました」
というメッセージが。
惨たらしい現実を直視して
サイトを訪れた客は最終的に女性と出会うことはできず、かわりにショッキングな結末を伝えられるという仕掛け。そのストーリーはすべて実際に起こった事件であり、写真の女性も殺される前、売春を生業にしていたのだ。
キャンペーンサイトを通じ最初の1週間に600を超える電話がかかり、チャットに限っては何千回もの利用があった。「Le Mouvement du Nid」がキャンペーンを通じ買春する男性側に訴えかけているのは、こうした惨たらしい現実を直視し、何かを感じて行動を自制してほしいという願いだ。(執筆:中井千尋 編集:岡徳之)