社長の「強気」に買いを直感 パナソニックに「復調」読み取る

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経営戦略に裏付けされたわかりやすさ

   ふだんから経営トップのコメントやメッセージには気を付けていたが、とりわけパナソニックの津賀社長のコメントは気になり、株式を保有してからも注意して読むようになった。

   社長のメッセージを投資家がどう受けとめるかが肝心だが、いま振り返ってみると津賀社長の言葉はわかりやすく、また経営戦略や財務諸表に裏付けされた内容で好感がもてた(もっとも、そう読ませる記者の腕もあったのかもしれないが...)。

   たとえば、津賀社長による「業績は回復する」との発言は、リストラにめどがついたことが背景にあったが、その言葉には自信があふれているように思えた。

   その自信は2016年6月24日開催のパナソニックの株主総会資料にもみられる。同社は2015年度の売上高を5つのセグメントに分類し、その構成比を、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ32%、アプライアンス(家電)27%、エコソリューションズ19%、AVCネットワークス14%、その他8%としている。

   「対処する課題」の中では、「成長戦略が軌道に乗りつつある、『家電』『住宅』『車載』で確実に利益を積み重ね、そこに高収益を目指す『B2B』(電子商品取引における企業間取引)事業を付加していくことにより、全社として確実に利益成長ができる構造をつくります」と記述していた。

   車載事業をみると、「車載用ミラー大手のフィコサ社との協業などにより、次世代コクピット事業で新たな成長を図ります。そして、平成30(2018)年度以降を見据え、さらなる成長に向けて、ADAS(先進運転システム)や車載電池において、開発強化や生産拠点の拡充に経営資源を重点的に投下します」と記されており、読む者が理解しやすい論理展開、内容になっている。

   この方針を裏付けるように、2016年6月12日付の日本経済新聞には「パナソニックは中国の大手自動車メーカー、北京汽車と組んで天津で電気自動車(EV)向けの基幹部品を合弁生産する」とある。さらに7月11日付では「車載電池事業の売上高を2018年度に15年度比2.2倍の4000億円に引き上げる」とあった。

   半面、7月21日付には、需要が低迷する太陽電池事業について、収益改善を図る目的で製造ラインをもつ島根工場への一本化を検討しているという。

   期初の方針にそって、重点投資と統廃合を着実に実施していることがうかがえる。(石井治彦)

2016年9月28日現在 300株保有 平均取得価格1096円56銭
現在の損益 2016年9月28日現在 ▲2万6568円
年初来高値 2016/01/04/ 1254円50銭
年初来安値 2016/02/12/ 799円00銭
直近終値 2016/09/28/ 1008円00銭

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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