Q&Aサイト「発言小町」に「1980年頃、4大卒の女性は就職できなかったのでしょうか」と、屈託ないストレートな質問が届いた。
女性部長に聞いた苦難の歴史
投稿女性の職場には2人の女性部長がおり、能力・人柄ともに素晴らしく、女性社員の目標となっている。部署が違うため日常的な接点はないが、ひょんなことから2人と食事をする機会があった。その場で部長たちから、
「入社当時は『結婚したら辞めるんだろうな』とあからさまに言う上司が何人もいた」
「短大を卒業し、就職してから10年くらいは簡単な事務作業とお茶くみくらいしかさせてもらえなかった」
「私たちが入社した1980年頃は4大卒の女性は我が社に就職できなかったのよ」
「私なんか短大卒でも地方出身・一人暮らしだったから、この会社にも就職できないとあきらめていた」
と聞き、衝撃を受けたという。
「1980年前後『4大卒女性は就職できない』『地方出身・一人暮らし女性は就職できない』『結婚したら辞めろ』と言われる」のは我が社だけの特徴でしょうか?他社も同じような傾向だったのでしょうか? またその理由は何なのでしょうか?」
と真顔で問いかけたところ、
「そうか、若い方々は当時の事情は知らないんですね...」
と気づいた人々から続々とレクチャーが。
寿退社が当たり前だった
「1986年に男女雇用機会均等法が施行されました。だからその前なんて、4年制大学卒は男子のみなんて求人がいっぱいあったし。今みたいに育休なんてのもないし、寿退社が当たり前だったし」
「男女雇用機会均等法世代の私からみると世の中全然進歩してないと思ってたけど、こんな質問がネットに出るとは、実は意識は変わっているのですね...と、しみじみ」
「どこもそうでしたよ。一流企業は短大卒・自宅通勤に限る、が一般的でした。女性社員は男性社員の花嫁候補だったので、若くて家庭がよくて身持ちが固いのが絶対条件だったのです」
「短大を出て81年に入社しました。都内大手損保です。女性に特別な能力は必要なく、誰でもできる仕事をやってもらって、社内結婚してもらって、また若い女性を入れるという筋書きでした。授業参観ならぬ『仕事参観』という行事もあったようです」
なかには、投稿者の会社の女性部長がいかに困難な時代を経て現在の地位にたどり着いたか、理解するよう促す投稿も。
「あなたは今の会社に入るときの求人票の内容を覚えてますか?だいたい『仕事内容』『給与』『雇用形態』くらいだったでしょ?当時だったら『女性・短大卒以上22歳まで』『容姿端麗であること、自宅通勤できること』と堂々と掲載されていたんです。今なら違法ですが、そういうことがまかり通っていた時代を経て、管理職になったお2人には最大級の敬意を表したいと思います」
数々の教示を目にした女性は、
「当時の会社にとって、女性は戦力ではなく花嫁候補という事実に驚かされました。男女雇用機会均等法は知っていましたが、法が制定された背景に思いを馳せていませんでした。尊敬する部長たちや先輩たちの想像を絶する努力で、今男女は同じスタートラインに立っています。このことを当たり前と思っていた自分が恥ずかしいです」
と胸を熱くした様子。
文部科学省の調査によると、2015年度の大学(学部)就職率は97.3%。うち男子は96.7%、女子は98.0%。この数字に、雇用機会均等法前を知る世代の人たちは感慨を禁じ得ないのではないか。(KM)