常に転職を意識? アホか! 他社が誘いたくなる人材たれ(江上剛)

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引き留められるくらい仕事を

   転職を繰り返していると、スキルも人脈も中途半端になる。それでは転職のたびに条件が悪くなる。ハローワークに行ってもあなたにスキルがなければ、いい条件の仕事はない。

   そんなときに役立つのは人脈だ。あなたという人柄にほれ込んでくれる人がどれだけ作れるかということだ。あなたになんの資格がなくても、そんなことは関係ない。あなたの誠実な仕事ぶりや組織への献身ぶりに感心して、「ぜひ、うちに来てほしい」という人脈をどれだけ築けるかだ。

   もう一つ、絶対に真実であることを言ってあげると、今、働いている会社から引き留められるくらいの仕事をしなさいということだ。あなたが転職したいといってもさせてくれないほどなら、あちこちから転職の誘いがくるだろう。

   男と女の関係を考えてみよう。なかなか口説けない女には熱心になる。逆にすぐに口説ける女なら、そんなに熱心にならない。転職も同じだ。あなたがホイホイと誘いに乗るようなら、誘う会社も熱意がなくなる。誘っても誘っても誘いに乗らないと、誘うほうは必死になる。

   転職の「しどき」? あえて言うなら今の仕事を十分にやり切ったと思った時だろう。それと、家族のある人なら、家族に対する責任が果たせる時も重要だ。例えば住宅ローンが終わったとか、子供が大学卒業したとか。

   そんなことを言っていると、いつまでも転職できないじゃないかと言われるだろうが、その時は奥さんとの大喧嘩を覚悟したほうがいい。そして「しどき」とは、奥さんから、

「そんなに転職したいならどうぞしたらいい。私も応援するから」

という答えを引きだした時だね。(江上剛)

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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