出張や外回りから「直帰」が認められたとき、内心「やった!」と思うのが人情というものだろう。出先での仕事が早めに片づき、「さて、この後何をして......」と思わず頬が緩んだ経験も「あるある」なのでは。
事後のお楽しみが決まれば、ついつい予定を他人に話したくなるものだが、職場で口にするのは、ちょっと待った!
せっかくだから友人に会おうと
Q&Aサイト「発言小町」に、「研修先から直帰OKの場合、遊んで帰ったらダメですか?」との質問が寄せられている(2016年8月26日)。
東京都内で行われる研修に参加予定の投稿者、午後4時に終了したあと直帰が認められているため、せっかく都内に出ることだし、学生時代の友人と食事をしてから帰ることにしたそうだ。ところが、それを会社でだれかに話したところ、上司の耳に伝わり、
「会社から交通費を出しているのだから、遊んで帰る事は認められない。それでも遊んで帰るのであれば帰りの交通費は出せない。常識だ」
と、だめ出しをされてしまったという。確かに研修申請書には帰宅時刻18時と記入した、しかし、素直にはい分かりましたとはいかない投稿者、
「会社から交通費などが出ている研修や出張の時は、遊んで帰ったらいけないのでしょうか? 皆様は出張や研修で直帰が認められている場合、まっすぐ家に帰りますか?」
と、同調者を募った。
「聞いたらダメと言うでしょ」
回答者からは、
「会社の研修や出張の帰り、(もしくは行き)が休日だったら、前泊したり、後泊したりして遊びました。泊れない場合でも、研修や仕事が終わってから夜に遊んで帰ったりもしました」
「出張先で当初の目的が達成できたなら、そのあとは普通、サラリーマンは自由ですよ」
といった物分かりのいい書き込みもあるにはあったが、投稿者が期待するほど会社の掟は甘くない。
「上司も聞いてしまった以上、OKとは言えないですよ。大抵は黙って、みんなやってるのを見てみぬ振りをしてるんです」
「そんなことは、会社で堂々と話すことじゃないです。心の中で『ラッキー』と思って、黙っておけばよかったのです。自由な社風の若い会社ならともかく、普通は、建前上『ダメ』と言わざるをえないのです」
「勤務中という取り扱いで給与の支払い対象にもなっている時間帯に『遊ぶ』ということを公式に表明すれば、それはダメだ、という判断になるのは、仕方ないことではないでしょうか」
など、法令遵守は当然、「遊ぶにしても会社には黙ってなきゃダメ」と説く投稿が相次いだ。
労働者災害補償保険法では、日用品の購入や選挙権の行使、病院での診察など「日常生活上必要な行為」でない限り、通勤途中で寄り道すると、事故などがあっても労災とは認められないと定められている。このことからも、会社としては、社員が遊んで帰るのを大っぴらには認められないのだろう。
「直帰」について先輩筋の含むところは、会社にバレないよう、ケガや事故に十分に気を付けて、自己責任においてこっそり羽目を外すべし、というあたりになろうか。(MM)