人事評価にひびく会議での発言 空気読みながら考えるべきは(高城幸司)

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どのような立ち位置で話すべきか

   そもそも会議においては「自分はどのような役割を担ったらいいのか」を考えて、その役割を演じることが重要です。場の雰囲気を乱さずに気の利いた言葉を発するべきか、または自分の意見を積極的に言うべきか、はたまた、まとめていく方向に話し合いを導くべきか。自分がどのような立ち位置で話をすべきかを、その場の空気を読みながら考える必要があります。

   とはいえ、考え過ぎるのもよくありません。皆さんも一度は経験されたことがあるかと思いますが、会議で「何かを言おう、言わなくちゃ」と意識するあまり、ひと言も発せずに終わってしまうこともあります。大縄跳びの輪に自分も入ろうと機をうかがい続けて、結局最後まで入れないような状況です。「何かを言わなければいけない」という強迫観念を持って会議に参加している人がいますが、「何かを言わなければ」という立場だと、かえって発言すること自体がすごく難しくなってしまうものです。

   そんな時は、人の意見に対して肯定的な発言をすることから始めてみてはどうでしょうか。例えば、

「さきほどのGさんの意見は斬新でいい案だと思いました」

ということを、手を挙げて言ってみるのです。いろいろな意見が出て議論が紛糾してしまった場面では、

「意見が錯綜していますが、ここまでの議論をまとめると......」

と、まとめ役を買って出るのもいいでしょう。このように、「自分なりの役割を持って話をしよう」と心がけることで、会議にずいぶん参加しやすくなります。

   過剰なアピールや自分の知識をひけらかすような発言など不要です。会議は基本的に「賛成か、反対か」を確認する場であって、個人の体験談や自慢話を披露する場ではありません。前提として、「自分のことを話そう」という意識は捨てるべきでしょう。会議で何かを発言する時、「自分のため」と思って話していると、聞いている人はその内容に同意しづらいものです。

   逆に、「人のため」と思ってする発言に対しては、仮にその話が少し見栄を張っていたとしても、聞く人の共感が得られやすいと思います。このように、話をする時は「自分のため」ではなく「他人のため」「将来のため」「この仲間のため」、主語は「私(I)」ではなく「私たち(We)」を意識するように心がけるといいでしょう。

   自分の発言が「利他(自分を犠牲にして他人に利益を与えること、他人の幸福を願うこと)」に当たるかどうか、を考えて話すのです。そうすれば、仮に話の内容は同じだとしても、周りから「何かいいことを言って格好つけようとしているな」という穿った見方はされにくくなります。また、仮にそう思われたとしても、共感性が高いので面倒なことになる可能性が低いのではないかと思います。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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