カープVがなぜ熱狂を呼ぶのか 「弱者戦略」成功ゆえと見たい

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いい人材を金で買うのでなく

   カープの2つの弱者戦略になぞらえて「大企業に負けない経営のコツ」を考えるなら、まずは「人を育てる」ことに投資を惜しまないこと。「いい人材が欲しい」と、いたずらに採用にコストをかけたり、多額の給与を提示して学歴・職歴重視の中途採用をする中小企業経営者をよくお見かけしますが、大切なのは採用という入り口ではなく、むしろ今いる人材を「育てる」過程に投資する姿勢ではないか、そう思わされることもしばしばです。

   もうひとつの「ファンを大切にする」という姿勢は、企業に置き換えるなら「お客様を大切にする」ということ。BtoCビジネスならば来店客や常連客。BtoBビジネスならばお得意先に対して、たとえ苦しい状況にあろうとも決して裏切らない仕事をすることに尽きるでしょう。端的に言うなら、商品や製品、サービスの質をこっそりと落とすことなどは、かえって自らの首を絞めることになる。苦しい時こそ、その質を上げお客様を大切にする姿勢を貫く、それが苦境を脱することにつながるのです。

   広島カープの優勝の裏にある、長きにわたって貫かれた弱者戦略に、企業マネジメントのヒントを見た思いがいたしました。それは、私がこれまで見てきた中小企業の成功事例、失敗事例とも符合するものです。皆様のご参考になれば幸甚です。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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