2017年1月から、個人型確定拠出年金(個人型DC)が公務員や主婦を含め誰でも加入できるようになる。「掛金は全額所得控除」「運用益が非課税」「受取時も所得控除」という3つの節税効果で注目を集めているが、それが裏目に出るケースもある。
住宅ローン控除のメリット縮小
住宅ローン控除を使っている人は注意が必要だ。
住宅ローン控除を使うと最終的に納税額を少なくできるが、ローン控除で減らせるのはその人の税額の範囲内である。
たとえば、ローン控除枠が20万円で年収700万円の人の場合、個人型DCに加入してもローン控除で減らせる税金は20万円のまま。
年収500万円の人だと税額が少なく、個人型DCに加入する前からローン控除で減らせる税金は約15.7万円。個人型DCに加入すると税額が減り、ローン控除で減らせる税金は約13万円まで縮小する。
また、ローン返済中の人やこれから借りる人は、個人型DCで運用するより、そのお金でローンを返済するほうが有利なことも多い。
正確な比較分析をしたいときには税理士やファイナンシャルプランナーなどに相談するといいだろう。
「特別法人税」は凍結中だが
2017年3月まで凍結されている「特別法人税」にも要注意だ。
資産残高に対して年1.173%が課される「資産課税」で、運用益の有無に関わらず資産を持っているだけで課税されてしまう。個人型DCを定期預金で運用する場合など、運用利回りより特別法人税のほうが上回り、資産が毎年目減りしていく。
今まで何度も凍結期間が延長されてきており、個人型DCが始まってから課税されたことはない。経済界からも完全撤廃を求める要望が出ているが、凍結解除の可能性はゼロではない。
なお、掛金積立時の所得控除は会社員であれば年末調整による所得税還付、住民税は翌年から安くなるという形なのでムダにしてしまいがち。
浪費は節税効果を台無しにする。(阿吽堂)