社会人になって初の大きな買い物とは(ライフネット生命会長・出口治明)

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お金は自分のために「使ってなんぼ」

   そうは言っても、若い人はお金を使わなければなりません。人と会うのに飲みに行くこともあるでしょうし、何か勉強をするにも、現場に足を運ぶのにもお金が必要です。若いうちは、僕のいう「人・本・旅」にお金を惜しむべきではないと思います。借金をしない範囲で、よく考えてお金を使うといいのではないでしょうか。

   月々20万円の手取りがあれば、5パーセントの範囲で保険料を払う。独身の人であれば、万一長期間働けなくなったときの保険(就業不能保険)に備えてください。残りの19万円について、衣食住にいくらかかるか、計算してみる。アパートの家賃、食費、携帯電話......。そうやって、たとえば15万円かかるとすれば、余った4万円を好きなことに使えばいいのです。

「こんな時代だから何が起きるか分からない。だからなるべくお金を貯めておいたほうがいい」

そう考える人がいるかもしれません。

   しかし、ひたすら貯金して、それで人は賢くなるでしょうか。若いうちに自分を鍛えたり、賢くなるよう努力をしないで、いつ成長できるというのでしょう。旅をするのもいい、英会話を勉強するのもいい。自分に投資しないで汲々と過ごすのはもったいないと思います。

   お金は「使ってなんぼ」のものです。いざというときの保険をかけておいて、あとは自分を賢くするために使えばいいのだと、僕は思います。自己投資が長い人生で考えると最も収益率が高いのです。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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