お金は自分のために「使ってなんぼ」
そうは言っても、若い人はお金を使わなければなりません。人と会うのに飲みに行くこともあるでしょうし、何か勉強をするにも、現場に足を運ぶのにもお金が必要です。若いうちは、僕のいう「人・本・旅」にお金を惜しむべきではないと思います。借金をしない範囲で、よく考えてお金を使うといいのではないでしょうか。
月々20万円の手取りがあれば、5パーセントの範囲で保険料を払う。独身の人であれば、万一長期間働けなくなったときの保険(就業不能保険)に備えてください。残りの19万円について、衣食住にいくらかかるか、計算してみる。アパートの家賃、食費、携帯電話......。そうやって、たとえば15万円かかるとすれば、余った4万円を好きなことに使えばいいのです。
「こんな時代だから何が起きるか分からない。だからなるべくお金を貯めておいたほうがいい」
そう考える人がいるかもしれません。
しかし、ひたすら貯金して、それで人は賢くなるでしょうか。若いうちに自分を鍛えたり、賢くなるよう努力をしないで、いつ成長できるというのでしょう。旅をするのもいい、英会話を勉強するのもいい。自分に投資しないで汲々と過ごすのはもったいないと思います。
お金は「使ってなんぼ」のものです。いざというときの保険をかけておいて、あとは自分を賢くするために使えばいいのだと、僕は思います。自己投資が長い人生で考えると最も収益率が高いのです。(出口治明)