あっという間に市場が飽和
正規のiPhoneがなかなか発売されないので、一刻も早く最新型が欲しい見栄っ張りの金持ちカンボジア人が、日本など早くから売っている国のiPhoneを輸入します。そうすると、「カンボジアでは、意外とiPhoneが売れる」ということで、輸入業者が最新版の新品だけでなく、中古品も送るようになります。その結果、世界中の中古iPhoneがカンボジアに集まってきます。
最初はそれなりに高値で取引されるのですが、なにせ人口が1500万人しかいない上にそのほとんどが農民のカンボジア。市場はあっという間に飽和し、入ってきた中古のiPhoneは行き場を失い、どんどん値下がりしていきます。
おかげで、中古のiPhone5が100ドル、4sになると70ドルという値段で販売されています。これから、iPhone7が出回るようになると、今、盛んに使われているiPhone6sが売られ、ところてん方式で6Sの値段が下がり、6の値段が下がり......となり、その先も値段の低下が続くと思います。
私がカンボジアに住み始めた3年前には、日本のリサイクルショップが大きな利益を上げていました。日本では売れないような中古品をコンテナで運んで、カンボジアで売る商売。仕入れ値がほぼ無料なため、輸送費だけでショップに並べられるとあって、利益率は非常に高かったと思われます。
しかし、イオンモールができたり、日本以外の国から輸入をする業者が出てきたりしたことで、多くの質のいい新品が簡単に手に入るようになり、ほとんどの人がそれなりにものを手に入れて飽和状態になったこともあり、このリサイクルショップは早くも下火になっています。
あっという間に新規業者が参入してよりよいモノが流通する、さらに、市場が小さいのであっという間に飽和するという2つの問題から、カンボジアで商売をするのは実に難しいのです。
ただし、足りないものばかりで、遅れている業態もたくさんあるので、新規参入するチャンスはまだまだあるかもしれません。(森山たつを)