プロ野球選手も「仮想空間」で練習する時代に――。東北楽天ゴールデンイーグルスは、VR(ヴァーチャルリアリティ)技術を用いたトレーニングシステムを2017年シーズンから導入する。システムを開発したNTTデータが16年9月5日に発表した。同社によれば、こうしたVR技術を「シーズンを通して選手の能力強化に使えるレベルの品質」で運用するのは「世界初の取り組み」という。
「実戦に生かせる」と判断
今回イーグルスが導入するのは、打者が仮想グラウンドで、他球団の投手の投げ込む球を体験するVRシステム。球団が収集した投球映像データをゴーグル型の「ヘッドマウントディスプレイ」で再生し、「本当に打席に立っているような目線」で投手の投げ込む球を仮想体験できるという。
ピッチャーが投げるボールの軌道は同じでも、ボールの見え方は選手の打撃フォームや体格差によって大きく変わる。このシステムでは、それぞれ違う見え方がCG処理で再現されるため、よりリアルな形で投球を仮想体験でき、苦手投手の特徴を分析したり、攻略方法を効率的に習熟するのに有効という。
開発したNTTデータの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、
「新たに追加撮影した映像データも、球団側の作業だけで仮想空間上に再現することが可能です。パソコンとヘッドマウントディスプレイさえあれば使用できるので、遠征先などにも持ち運びやすい。長いシーズンを通してチームが取り扱えるよう『実用面』を重視した仕様になっています」
と説明する。
イーグルス側も、再現されたピッチャーの特徴や球筋、映像の品質などを、選手が実際に繰り返し確認した上で「実戦に活かせるシステム」だと判断。「ファーストユーザーとして2017年シーズンより実戦での選手強化に活用していきます」とのコメントを出している。
16年シーズンのイーグルスは、チームの打撃成績が振るわないこともありリーグ下位に低迷。再起を図る来シーズン、VRトレーニングで「打線爆発」となるか。