入社後に「事なかれ」の天井が 女性総合職伸び悩みの理由とは

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「あなたのせいで仕事が増える」

   理由3:一般職・先輩社員からの圧力

   女子学生からすれば意外かもしれませんが、一般職でも総合職とほぼ同じ仕事をしている、ということが企業ではよくあります。人事、総務、経理、営業事務などバックアップ部門ではよくある話です。

   一般職の先輩社員からすれば、同等か自分よりも少ない仕事量で給料が自分よりも高い総合職の後輩社員が面白いはずがありません。イジメ、というほどでないにしても、総合職の後輩社員に圧力をかけることがそれなりにあります。

   一例を挙げましょう。とある建材メーカーで営業事務に配属された女性総合職のAさん。終業時間18時直前の17時50分、担当する営業部のBさんから、「取引先の見積もり一覧を用意してほしい」と言われました。作業時間としては30分程度と見当をつけたAさんは、それくらいの残業ならばいいか、と快く資料を揃えてBさんに送信しました。それを見ていた課長は、「よく対応してくれた」とAさんをほめます。

   いい話じゃないか?

   この会社の営業事務の部署の構造がどうなっているか、そこがポイントです。もし、総合職に女性だけでなく男性もいて、単純作業はもっぱら契約社員が扱っていて、契約社員はかならず18時ちょうどで終業、ということであれば問題はありません。契約社員からすれば、Aさんが残業してもしなくても、自分の仕事には直接関係はないからです。

   ところが、一般職だったらどうでしょうか。もし、Aさんが終業間際に作業を引き受けて残業を拒まないと、なしくずしに自分たちにも残業仕事が回ってきます。一般職は総合職と違って残業をしてもそれほど評価されるわけではありません。

「あなたのせいで仕事が増えるのよ」

   課長に褒められていい気分になっていたAさんは翌日、一般職のCさん、Dさん、Eさんに呼びつけられます。

   Cさん:「あなたさあ、終業間際にああいう仕事、受けられると困るのよ」

   Aさん:「え? でもBさんもお急ぎの様子でしたし」

   Dさん:「終業間際なんだし、見積もりリストなんて本来は営業のオトコが揃えるものなの。それを勝手にスタンドプレーしてくれちゃって」

   Eさん:「あなたがああいう仕事を受けて、もしあなたがいない場合、私たちの負担が増えるの。それって迷惑なの。ね、今度からは本来の線引きがどこにあるのか、きちんと確認してから受けてちょうだい。あなたと違って、私ら、余計な仕事をしたくないし」

   Aさん:「はい、すみません......」

   という会話があったかどうか分かりませんが、以降、Aさんも含め、この建材メーカーの営業事務は終業間際、連絡がつきづらいと社内に悪評が立ちました。めでたし、めでたし......ではないですね。

   どうすれば改善できるかは、また別の問題なので措くとします。

   以上のように、女性総合職の伸び悩みの理由を3点にまとめてみました。一般職の待遇改善を含めて考えないと、難しいですね。うーん。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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