今回のテーマは「女性社員の伸び悩み」です。
学校基本調査の就職率(速報値)で2016年3月卒業者は74.7%。2000年代で過去最高となりました。特に女子は80.7%、1990年の81.0%、1991年の81.8%に比肩する高い数値です。
これは売り手市場だからというだけではありません。第二次安倍内閣以降、政府がウーマノミクスを掲げ、企業側に女性採用を強く促している、その効果が表れています。
入社3年くらいで伸び悩む
ただ、女性総合職については2000年代に入ってから、このような見方が定説になっています。
「女子学生は優秀。だけど、採用すると、入社3年くらいで伸び悩む。だから、バランスをとる上でも優秀ならざる男子学生もある程度採用したほうがいい」
もちろん、入社時点から順調に成長し、着々と管理職コースをたどる人材もいるのですが、全体から見れば少数派。
どうして、伸び悩むのか。その理由がいくつか判明してきました。
理由1:男性管理職の過剰配慮
女性総合職を登用するようになった企業でよくあるパターン。セクハラ・パワハラはあってはならないのですが、男性管理職がそれを過剰に気にするあまり、女性に負担の大きな仕事を与えないきらいがあります。
同じ若手の平社員が男性、女性、それぞれいるとしましょう。過剰に配慮する管理職は、残業が発生した、若手社員にとって難しい案件が出たなどの場合、それを女性社員にではなく、男性社員に出してしまいがちです。男性社員からすれば、仕事の負担は大きくなりますが、その分、成長する機会が増えます。
これは仕事以外でも言えます。管理職が業務時間外に「飲みに行こう」と誘うとしましょう。部署やプロジェクト全体での飲み会ならまだしも、部下と二人で飲みに行く、となると女性はまずい、それが現在の常識でしょう。
「女性、それも若い子を飲みに誘って、セクハラと取られるのもバカらしい」
そう考える男性管理職がほとんどでしょう。その分、管理職と部下がコミュニケーションを取る機会は少なくなってしまいます。
理由2:失敗への忌避反応
失敗を恐れ、リスクを回避しようという傾向およびそうした行動――これは女性総合職・管理職が少数派に留まる企業だけではありません。女性総合職・管理職が多いとされる企業でもそこそこある話です。
忌避反応が起きるかどうかの違いは何か、といえば、失敗に対するフォローがきちんとできているかどうかにかかっています。男女を問わず、学生・社会人を問わず、人は失敗するものです。失敗を経験するからこそ、次のステップに進めるわけです。
たとえ何か失敗をしても、管理職や先輩社員のフォローがあれば、立ち直ることができます。失敗を過度に恐れず、挑戦精神を失うこともありません。
失敗を過度に責めるとどうなるでしょうか。次は失敗しないように安全に行こう、あるいは、下手に挑戦するよりも前例踏襲で行こう、となってしまいます。
こうなると、成長が鈍くなってしまいます。