「会社の風通しが悪い。どう改善すればいいのでしょうか」
無理なことは考えないほうがいい。会社っていうのは風通しが悪いものだ。三菱自動車も東芝も不正が起きる原因は、全て風通しが悪いからだ。
業績悪ければ責任は上にある
分厚い経営指南書を読んだことがある。それは優良企業が、ダメな会社になってしまう失敗の原因を分析したものだ。その分析は詳細だが、対策はただ一つ。風通しの良い組織にすること。読み終えた瞬間に肩すかしされた気持ちになった。
不正が起きたり、経営効率が低下したりすれば、それは風通しが悪い組織だということになる。一方、どんなにひどい経営者であっても、順調に経営されている時は、風通しの良い組織ということになる。会社というものは、数字がよければ全てよしという冷徹なものだ。
あなたは、風通しが悪いと思って、なんとかしなくてはいけないと考えているらしいが、それは会社やあなたが属している部署の数字が悪いからなのか?そこをちゃんと考えないといけない。
もし不正もなく数字がいいなら、風通しなんか全く問題じゃない。あなたが不満を抱いているだけだ。
そんなことを考える前に自分の成績を上げるべきだ。自分の頭の上のハエを追っ払えないで、なにをブツブツ言っているんだ、と上司に叱られるのがオチだ。
もし数字が悪いなら、それは風通しが悪いことになる。その原因は会社員なら簡単に分るだろう。
上司が悪いに決まっている。他に原因があるはずがない。あなたの直属の上司、あるいは会社のトップが無能なのか、過去の成功体験に酔いしれるカリスマになっているからだ。
数字が悪くなると、トップがイライラする。するとあなたの直属の上司もイライラし、結果として部下は何も言えなくなって、風通しが悪くなり、会社はダメになっていく。
名経営者が執着し過ぎる
セブン&アイで、カリスマ経営者だった鈴木敏文氏に対するクーデターというべき事態が起きたが、あれも風通しが悪くなったことが原因だ。
どうも日本の名経営者と言われる人は、総じて会社に執着し過ぎる。自分がいないと会社はダメになると思いこんでいる。それはそれでいい面もあるのだが、いつまでもそういう姿勢だと、必ず会社は倦んでくる。風通しが悪くなり、問題が起き、トップは晩節を汚すことになる。
あなたに会社のトップを追い出すくらいの覚悟があればいいが、それがないなら、風通しが悪いなどということは考えるだけ無駄だ。ブツブツ不平不満の多い奴だと思われて、「風通しが悪いのは、お前のような無能な中間管理職がいるせいだ」と言われ、最果ての地に飛ばされてしまうだろう。
「成長が全てを癒す」という言葉があるだろう。風通しの良い会社にしようなんて余計なことを考えずに、ひたすら数字を上げることだけを考えればいい。
結果よければ全てよし。疲れたら風通しの良いテラス席でビールでも飲んだらいい。すっきりするよ。(江上剛)