会社の風通しが悪いだと? 業績よければぶつくさ言うな(江上剛)

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   「会社の風通しが悪い。どう改善すればいいのでしょうか」

   無理なことは考えないほうがいい。会社っていうのは風通しが悪いものだ。三菱自動車も東芝も不正が起きる原因は、全て風通しが悪いからだ。

業績悪ければ責任は上にある

風通しが悪い、それはあなたの考えることか
風通しが悪い、それはあなたの考えることか

   分厚い経営指南書を読んだことがある。それは優良企業が、ダメな会社になってしまう失敗の原因を分析したものだ。その分析は詳細だが、対策はただ一つ。風通しの良い組織にすること。読み終えた瞬間に肩すかしされた気持ちになった。

   不正が起きたり、経営効率が低下したりすれば、それは風通しが悪い組織だということになる。一方、どんなにひどい経営者であっても、順調に経営されている時は、風通しの良い組織ということになる。会社というものは、数字がよければ全てよしという冷徹なものだ。

   あなたは、風通しが悪いと思って、なんとかしなくてはいけないと考えているらしいが、それは会社やあなたが属している部署の数字が悪いからなのか?そこをちゃんと考えないといけない。

   もし不正もなく数字がいいなら、風通しなんか全く問題じゃない。あなたが不満を抱いているだけだ。

   そんなことを考える前に自分の成績を上げるべきだ。自分の頭の上のハエを追っ払えないで、なにをブツブツ言っているんだ、と上司に叱られるのがオチだ。

   もし数字が悪いなら、それは風通しが悪いことになる。その原因は会社員なら簡単に分るだろう。

   上司が悪いに決まっている。他に原因があるはずがない。あなたの直属の上司、あるいは会社のトップが無能なのか、過去の成功体験に酔いしれるカリスマになっているからだ。

   数字が悪くなると、トップがイライラする。するとあなたの直属の上司もイライラし、結果として部下は何も言えなくなって、風通しが悪くなり、会社はダメになっていく。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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