電車や街なかでスマホ画面に指を滑べらせたり、タッチしたり――神業のごとき素速さで文字を打ち込む人を見かけたことはないだろうか。iPhoneでは「カギ括弧」は「や」を左右にフリックするだけで入力できるなど、文字入力の小技を使うと入力スピードが格段にあがる。
いまや現代人の生活と切っても切れない関係にあるといえそうな文字入力だが、Q&Aサイト「発言小町」に「カナ入力をしている人はいますか?」と問いかける、39歳の女性からの書き込みがあった。
kana nyuuryoku ha hayai
悩みはスマホではなくパソコンの話。女性はローマ字入力をしてきたが、最近になって入力スピードの衰えと疲れを感じるようになった。そんな時、定年退職した人が「カナ入力」でとても速かったのをふと思い出した。カナ入力は打鍵数が少なく、体への負担も軽そうだ。
「カナ入力の良いところ、使いにくいところなどがあれば教えてください」
と女性が質問を投げかけると、
「プライベートではカナ入力。目と指が直接つながっているかと思えるほど素早く打てます」
「スピードと正確さを求められる、テープ起こしの仕事をしていました。その名残でカナ入力です」
「カナ入力歴30年以上です。『じぇじぇじぇ』『じょっぱり』『ぐゎしっ!』など、濁音と促音、拗音が複雑に入り組んだ文の入力もそのままなので楽です」
と歴戦のカナ入力派からの回答が続々と寄せられた。なかには、
「中学の時のワープロから30年以上カナ打ちです。私はローマ字が気持ち悪いのです。『ありがとう』と打つのに『arigatou』、自分が外国人になった気持ちになるのです。ローマ字ってどこの国の言葉なんだよと思ってしまいます」
「ローマ字入力もカナ入力も短所と長所がありますが、総合的に見てカナ入力が優れていることは決着済。今、スマホで主流のフリック入力はカナ入力の進化形です」
といった熱烈礼賛派もいた。
「周囲からは変人扱い」
ただし、現実にはローマ字入力が主流であるため、
「確かに早く打てます。漢字の変換ミスも少ない。でも子どもからは化石扱い。完全にマイノリティーです。最近は家族を含めほとんどがローマ字入力なので、使う度にキーボード設定を切り替える手間が面倒です」
「カナ入力歴35年です。ただし50音の配列を覚えねばならず、タッチタイピングは小指が届きません」
「44歳、カナ入力派。数字、アルファベット混じりの文を書くとき、いちいち切り替えが必要です。周囲から変人扱いされる」
と少数派ゆえの悲哀も打ち明けられている。
実際、カナ入力のアドバンテージは大きいのだろうか。
「プロのパンチャーでしたが、腱鞘炎をきっかけにカナ入力からローマ字入力に転向しました。カナ入力はキーボードの端から端まで使い、指が疲れる」
「入力オペレーター400人規模のデータセンターを経営しているが、ローマ字派・カナ派は半々。ローマ字入力が疲れるということはなく、たいていの疲労原因はモニター画面のちらつきや作業姿勢によるもの」
といった評価もあった。
さまざまな回答に対し、投稿者は、
「仕事で文章を猛烈に打たないといけないときがあるのです。手が小さめなのでカナ入力に向かないかもしれませんが、練習したいと思います。PCを使った後はローマ字入力に戻すよう注意します」と心を動かされた様子。確かに、すでにローマ字入力ができる人なら、用途に応じた使い分けも可能かもしれない。
ちなみにこの原稿を書いている私KMもカナ入力歴27年です。(KM)