中居くんとキムタクのどちら? 経営者に向くとされるのは

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経営者には3つのバランスが

   この一言で状況は一変しました。H氏は、常務昇格どころか、S氏が社長を務める関連会社の会長に転出させられたのでした。そもそもH氏の希望とは、関連事業を統括する役員としてS社長をバックアップしたいというものだったのですが、それが「役員の立場で過去の上司の支援をしたいとは何事か」とU社長の逆鱗に触れたのでした。役員たるもの、社長や組織への献身をおいて他者への恩義を口にするなど、決して許されることではなかったのです。

   私は異動の真意を社長に質し、その回答になるほどと唸らされました。

「残念でした。組織(=実権者)への忠誠、人への恩義、チームの和、3つのバランスがとれていない人間は経営には不向きです。クーデター事件の時、生え抜き社員でありながら外様の私に進言した彼は、そのバランスがとれていると思ったのですが、結局は違っていました。経営者は、会社経営を考えるとき、常にこの3つのバランスをとることが求められ、それを誤ったときに大きな失敗に陥るのです」

   U社長の考え方に従うなら、SMAP解散の一件では、恩義に偏って一方的に飛び出そうとした中居くんも、忠誠心に偏って和を乱したキムタクも、次期幹部としては失格ということになりそうです。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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