カンボジア・プノンペンのショッピングモールの近くを歩いていて、「Free Pokemon T-Shirt」という文字に出くわしました。
一体何かと思って近づいてみると、最大手の携帯電話会社SMARTが「携帯に5ドルチャージしたら、ポケモンGO Tシャツプレゼント」というキャンペーンをやっていたのでした。
流行に乗っかる姿勢はステキだ
こちらの携帯電話はプリペイド方式が主流で、日本のSuicaのように先にお金をチャージして、使った分だけ引き落とされていき、0ドルになったら通話もネットも使えなくなるというしくみになっています。
私は、月に3ドルくらいしか使わないので、5ドルもチャージしたくないのですが、Tシャツ欲しさについうっかりチャージしてしまいました。まんまと策略に乗っています。このTシャツ、株式会社ポケモンにライセンス料を支払っているのか微妙ですが、このように、流行に全力で乗っかってくる姿勢はステキだと思います。
カンボジアのポケモンGOの状況ですが、ハッキリ言ってまだまだです。
アイテムをもらえるポケスポットやポケモンを戦わせるジムも市内に数えるほどしかなく、ポケモンもめったに出てきません。日本でも、東京と田舎でポケモン格差がひどいと不満が噴出する状況になっていますが、カンボジアの場合、首都プノンペンでも日本の最下層に位置づけられる状態です。
サムライカレーのスタッフが、「ボス、このゲームはどうやったら始まるんだ?」と聞いてきたので「カンボジアではまだ始まっていない」と答えました。一般の人が楽しめる段階ではないのです。
強いものがより強くなる状況
こんな状況下なので、東京でレベル20まで上げてきた私は、カンボジアNo1のポケモンマスターになれるのではないかとひそかに思っていたのですが、そうは問屋が卸しません。
数少ないプノンペンのジムに行ってみると、とんでもなく強いポケモンが君臨しており、私のポケモンは一瞬で蹴散らされます。私のレベルなんて雑魚で、海外でもっと強いポケモンを捕まえてきた人には全然歯が立たないのです。
日本では、たとえ強いポケモンを使ってジムを占領しても、同じくらい強い人がたくさんいるため、そういう人に攻められてすぐに陥落します。しかし、プノンペンでは強い人が少ないため、かなりの長期間君臨することができます。しかも、長期間君臨することで強い者がより強くなるという状況が生まれています。
これは、今のカンボジア経済の生き写しです。
中国をはじめとする、強大な資本を持った企業がやってきて、どでかいショッピングモールやコンドミニアムを作って君臨する。そのショッピングモールやコンドミニアムは、普通のカンボジア人には縁遠いモノで、ほとんど恩恵はない。
街の発展は始まっているどころか、加速度を増しているのに、庶民からしてみると「このゲームはどうやったら始まるんだ?」状態。カンボジア人が、巨大投資の恩恵を受けたり、ポケモンを捕まえられるようになったりするのは、一体いつのことなのでしょうか。(森山たつを)