採用増やしながら、こだわりも
阪和興業は57人から90人と大幅に増え、カゴメは2004年の32人から30人と微減しています。選考状況や内定辞退などで5~10人程度は前後することがありますから、カゴメは横ばいといっていいでしょう。
一方、阪和興業は売り手市場にあって採用を大きく増やしたといえます。2004年には採用がなかった駒澤大、帝京大などが含まれるため、志願者からすれば、ハードルはある程度下がった、とみることもできます。
ただし、採用数を増やしながらも、かなりこだわっている節も見え隠れします。というのも、神戸市外国語、関西外国語、愛知県立など外国語・国際系学部のある大学が約20校を占めているからです。採用者のすべてが外国語・国際系学部出身というわけではないでしょうが、一定数を占めている可能性は高いでしょう。一概にハードルをうんぬんすることもできない、と言えます。
カゴメは、いつから変わったのかは不明ですが、現時点では理工系シフトが顕著です。理工系・農学系学部(家政系学部も含まれる可能性あり)だと、大学ランクは中堅クラスでも採用していますが、文系だと、難関大のみ、それも人数はそこまで多くありません。
この『就職四季報』のデータに基づく分析、今回は阪和興業とカゴメの2社のみで行いました。実は、もっと企業規模の大きい三井物産や三菱地所などでも比較検討してみたのですが、両社とも途中までは採用実績校などをきちんと出していたのに、ある時点から一切出さなくなりました。採用担当者がアンケート回答をさぼっているのか、あるいは採用実績校を知られたくない(難関大ばかりだから)なのか......。
他の企業も含めてさらに比較検討し、違う形で出してみようと思います。(石渡嶺司)