デスクの拭き掃除やお茶くみ、コピー取りや書類のシュレッダーなどなど、雑用は新人や若手社員に任せている、という職場は多いだろう。
雑用とはいえ会社にとって必要な作業だが、少なからぬ若手が内心、「別に誰がやったっていいんじゃ......」と面従腹背しているらしい。
20代の6割超が「意味なし」
「R25」で、「新人時代の雑用」についての意識調査の結果が紹介されている(2016年8月2日)。
20~30代の男性会社員200人を対象に「新人が社内の掃除などの雑用をするのは、意味がある(将来的に仕事に役立つなど)と思う?」とたずねたところ、「意味がある」と答えたのは65.5%、「意味がない」は34.5%。年代別では、30代では「意味がある」が68.7%だったが、20代は「意味がない」派のほうが多く、61.9%だった。
「意味がある」派の意見は、
「上司の命令を忠実に聞くという縦社会で生きていく意味で勉強になったと思う」(39歳)
「基本をおろそかにする人は、決していい成果を生んでいない。新人教育をしていくと、その後の営業成績なんかを見ていれば、一目瞭然です」(36歳)
など、おおむね優等生的。
「意味がない」派からは、
「単純にめんどくさいからやらせるだけ。ためになるなら、新人でなくなってもやるに決まってる」(28歳)
「誰にでもできる仕事はアウトソーシングするべき」(35歳)
といった率直な声が上がっている。
新人もてっとり早く貢献できる
記事に対するツイッターの反応を見ても、
「意味の有無やないで?みんなやりたくないから新人にやらすんやで?」
「意味ない。仕事は修業ではない」
と、雑用に意味を見いだせないと感じる人が少なくないようだ。
することに意味はないが、誰かがやらなければならないから新人や若手に押し付けられているのが雑用なのだろうか?
ウェブ制作会社「ベイジ」代表の枌谷力氏がブログに、「なぜ新人が雑用をしなければならないのか?」という一文を公開している(2015年6月3日)。
以前は、上下へだてなく雑用をするほうがいいと考えていた氏は、自分が組織を作る立場になって、
「仕事ができる人はその得意領域にできるだけフォーカスし、そこに時間を集中して使ってもらった方がいい」
と考えを改めたという。誰でもできる雑用、すなわち「重要度は低いが誰かがやらなければならない軽微な業務」は、
「専門知識を持った優秀な人ではなく、パフォーマンスがより低い人にやってもらった方がチームとしては助かる」
「経験もスキルも足りない新人が一番てっとり早く貢献できるのが、この分野ではないか」
と職場の本音を代弁し、「それは合理的な組織がとる合理的な選択」と見る。
ただし、雑用も、する人の心のもちようで、いい仕事へのステップになりうるという。
「雑用が丁寧だと、この人は仕事も丁寧なのかな、何かやらせてみようかな、という気持ちになったりするものです。雑用一つでも自分をアピールできるチャンスだったりします」
たかが雑用、されど雑用といったところか。(MM)