労組を作りたいというなら 職場全体を考え覚悟を決めろ(江上剛)

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「給料がここ数年、上がりません。労働組合を作るしかないのでしょうか」

   労組を作ろうなんて、君は、労組がない会社に勤務しているんだね。中小企業かな。大企業でも新興の企業なんだろうね。昔ながらの大企業は労組が必ずあるから。

君に一目置くかもしれない

会社と断固戦うというなら
会社と断固戦うというなら

   君が労組を作りたいとか、労組に入りたい(会社にない場合は別の職能別労組や管理職労組などがある)と言えば、労組のほうは組織率が低下しているから大歓迎だろう。

   私も君の行動を制限したりはしない。不当労働行為になるからね。

   でも君の問題は給料が上がらないという不満だろう? これを解決するのに労組を作ればなんとかなるっていうのは短絡過ぎないか。確かに労組を作れば、君のために専門家がやってきて交渉をやってくれるだろう。それで給料は上がることもあるだろう。

   しかし私がアドバイスできるとすれば、労組を作る前に君自身が職場全体のことを考えて経営者と交渉すべきだってこと。

   労組を作るのはその後でもいい。経営者が全く君の意見に耳を傾けないならば、労組を作るのは労働者の権利だから。

   職場には、給料以外にも多くの問題がある。

   時間外労働、男女差別、過労死、セクハラ等のハラスメント云々。職場って、問題だらけだ。君が職場の不満をまとめて経営者に進言するくらい覚悟を決めたら、経営者は君に一目置くかもしれない。

江上 剛
江上 剛(えがみ・ごう)
作家。1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行築地支店長などを務める。2002年『非情銀行』で作家としてデビュー。03年に銀行を退職。『不当買収』『企業戦士』『小説 金融庁』など経済小説を数多く発表する。ビジネス書も手がけ、近著に『会社という病』(講談社+α新書)がある。
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