どこかで姿勢を変える必要が
言い得て妙であり、実に深い話です。H氏の場合、安定した飛行に移ることなく上昇を続けようとした飛行機の操縦士だったのかもしれません。墜落の危険を察知した起業同志は去っていき、同じく銀行は資金を引き上げてしまったのではないか。勝手な想像とはいえ、2度の失敗に潜む根本原因を垣間見た気がしました。
私は元銀行員であると明かした上で、こう言いました。
「銀行はベンチャーキャピタルとは審査の考え方が違いますから、どこかで経営姿勢を変えていかないといけないでしょう。社員も銀行も、安定を求めるのが常ですから、ベンチャー経営もある時期にさしかかったら、一般企業的な経営スタンスも取り入れてほしいというのが周囲の本心なのだと思います」
「なるほど! 目からウロコですね、そのお話。うちの起業塾でも使わせていただきます。いやいや、私自身も宿命を変えるべく心しないと、ですね」
初対面ではありましたが、三度目の起業が「三度目の正直」となることを祈った次第です。(大関暁夫)