先日、世界各国への語学留学を取り扱っているEF Education First社の方と話しているときに、こんなやりとりがありました。
「今、イギリスは熱いですよね。ポンドも安くなっているし、絶好の留学のチャンスです」
「いや、実を言うと、イギリスというかEU全般の留学に二の足を踏む人が多いんですよ」
「なんとなく危なそう」
どうやら、イギリスに留学を希望する学生は少なくないようですが、その親が反対するケースが多いそうです。反対の理由は「危ないから」。危ない理由は「なんとなく」。
「EU離脱とかよくわからないことが起こっているから、なんとなく危なそう」
「フランスでテロが頻発しているから、なんとなくイギリスも危なそう」
そんな理由です。
確かに、日本人でパラグアイとウルグアイの違いが分かる人はほとんどいません。南米の人たちに、日本と中国と韓国と香港と台湾が見分けられる人はいません。そんな感じで、いまや日本から見れば、イギリスもフランスとドイツとギリシャもまあ、だいたい同じようなものなんでしょう。
危険性でいえば、アメリカでも銃乱射事件などの事件が多発していますし、日本でも凄惨な事件が起こったばかりです。どこに行ってもそれなりのリスクはあるわけで、異国の地という、自国とは違った緊張感がある場所で危機察知能力を磨くというのも、重要な学習だと思います。しかも、きちんとした日本人のバックアップがついている語学留学なんて機会は、最小限のリスクで学ぶことは多いのですが。
なにより、この激動している渦中のイギリスに行こうという好奇心を潰してしまっているのが残念です。日本のマスコミが流しているイギリスの情報と、現地の人たちが話している内容の違いを知るだけでも、自分にとっての今後が大きく変わってくると思います。そうしたことまで全部ひっくるめて、「君子危うきに近寄らず」という考えだけで留学をさせないのであれば、非常に残念です。
海外に行ったことのない人がネガティブな報道に過剰反応し、数字を分析したり現地の情報を調べてみたりもせず、判断停止してしまうのであれば仕方がないかもしれません。本来は、そんな内向きの大人にならないように、激動のイギリスに旅立つべきなんですが。
学生たちには、自分でお金を稼いで、ぜひ世界への門を自力で開いてもらいたいと思います。(森山たつを)