「誰を出す?」説明会の司会役 無防備な企業事情も透けて見え

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自慢たらたらにドン引きも

   パターン2=30代男性・体育会系出身者が務める

   社員数が300人、ないしそれ以上の企業になると、30代男性を出すパターンが増えてきます。役職だと、平社員から主任、課長補佐あたりまでで、採用の実務担当リーダーに就いています。無難と言えば無難です。体育会系出身者が多いのは商社、IT、流通など。

   ただ、体育会系出身者を出せばうまく行くか、と言えばそんなことはありません。採用がうまくいっている企業の場合、体育会系出身であることをことさら強調はしません。体育会系の学生が来れば、雑談をするときに、「自分、陸上部? あ、同じだ」などと明かす程度。それぐらいで親近感を持たせることができます。

   ところが、採用が下手な企業の体育会系出身者はどうでしょうか。

   自己紹介で明らかにするのはいいとしても、「僕が大学のとき、この大会に出て、こんな苦労をして...」などと、部活自慢、苦労話を延々としだしたりします。インターン・説明会に参加した学生のうち、文系学生はこの時点でドン引きです。同じ体育会系学生でも「おお、すごい」と思うのはごく少数。大半は、

   「なんで、インターンに来たのに、他人の部活自慢を聞かされるのだろう」

と首をひねり、志望順位は相当下がってしまいます。

   このチョイスをする企業は、採用が空回りしている、あるいは、体育会系出身者が幅を利かせていて文系出身者の肩身が狭い、などの可能性があります。

   企業としては、こうした部活自慢の司会を引っ込めるか、早い時期に他部署に異動させるかしないと採用がガタガタになる可能性大です。

   パターン3=30代以上女性(既婚・子持ち)が務める

   社員数500人以上で、首都圏か関西圏の企業。広告・IT、流通、化粧品、金融の一部など女性総合職が早い時期から活躍している業界に、このパターンが見受けられます。地方では、社員数が500人以下の規模でも、たまにあります。

   役職はどうあれ、このパターンは女子学生、男子学生とも好感度大。男子学生からすれば、「年代は離れているけど、オバチャンだし話しやすい」。

   まあ、ぱっと見、商店街をうろついていそうなオバチャン顔の女性社員が司会を務めるケースもなくはありません。実はこういう印象を与える人ほど優秀で、ものすごい切れ者だったりするのですが、学生はまずそこまで見抜けません。

   パターン1で説明した、古い体質の企業(特に中小企業)は、この「女性だと話しやすい」というメリットを理解できていません。だからこそ、50代以上の人事部長クラスを出してしまうわけで。パターン3から5の企業は、「女性を会社の顔として出す」という壁を一枚超えている、と言えます。

   パターン3のような女性社員を出すと、女子学生からすれば、将来の目標となります。仕事をしながら結婚もして、子どももいて、というのは女子学生からすれば理想像の一つ。それがインターン・説明会で目の前にいるのですから、採用へのプラス効果が大きいです。実際、このパターンの企業は、女性登用がある程度、軌道に乗っていると見ていいです。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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