「誰を出す?」説明会の司会役 無防備な企業事情も透けて見え

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   企業の採用活動において、あんがい軽視されがちなのが、インターンシップやセミナー、会社説明会の司会進行役ではないかと思っています。就活学生にすれば、どういう人が司会を務めているかに注目することで、その企業がどういう事情を抱えているかを知る手がかりが得られるでしょう。採用側は、どんな人を司会に据えるかを熟慮することによって、学生の企業に対する好感度を上げたり、ひいては採用状況を好転させたりすることができるのではないでしょうか。というわけで、今回のテーマは「誰を出す?」。

力みすぎて空回りして

   パターン1=人事部長など50代以上の男性が務める

誰にマイクを握らせればいいか
誰にマイクを握らせればいいか

   社員数100人未満の企業にありがちなパターンで、大都市圏よりも地方に多いです。男性社員が多数だから、という事情もありそうですが、女性が多い流通、化粧品販売、自動車ディーラー、印刷などの企業でも、人事部長など50歳年配の男性社員が出てきます。

   こうした企業の特徴は「新卒は欲しいけど体質が古い」。なぜ人事部長クラスが出てくるか、と言えば、

   「採用は企業の命運を左右する。だからこそ、企業の財務内容も含めてきちんと話せる役員・部長クラスが出ないとダメ」

と力んでいるからです。後述しますが、若手の女性社員を出そうとすると、「若い女など、会社の代表として出せるわけがない」などと反対します。きちんとトレーニングすれば済む話なのですが。力みすぎて、いい学生が欲しい気持ちが空回りして、学生からはむしろ敬遠されがちです。

   例外は、採用代行企業を使っている場合(効果が出ているので取引期間が長い)や、採用トップが企業の顔として名物化している場合、など。それぞれ、年代が離れている割に学生の扱いに慣れていて、活発に質問が飛び交うなど学生からの評判も上々です。

   ありきたりな質問にも丁寧に答えられるかどうかが、司会者の腕を見分けるポイントになります。ぞんざいな扱いなら、不慣れ。丁寧か、軽く受け流せるようなら慣れています。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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