極限状況に備え知っておきたい 惨事ストレス対策の予備知識

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あらかじめ知っておきたい対応策

   大きな災害が起きますと、救援隊のほかに「心のケア」の専門家が派遣されます。なるべく早いケアが基本です。

   さらに理想を言えば、強いストレス局面に遭遇した際のメンタル面の知識をあらかじめ身に付けておくと、PTSD緩和に効果があると推察されています。私は、あらかじめ惨事ストレス予防のための心理教育を施しておくことを「ストレスワクチン教育」と呼んでいます。

   惨事ストレス緩和のために知っておきたい対応策は、以下の3つのステップに分かれます。

   ステップ1「自分自身でPTSDに気づく」。以下の項目をセルフチェックしてみよう。

   (1)つらい出来事が再体験される。悪夢を見る。繰り返し思い出される

   (2)イライラする。人に八つ当たりする。怒鳴る。不眠が続く

   (3)嫌な体験に触れない。思い出したくない

   (4)いつまでもそのことを考え、心の切り替えができない

   (5)先々のことが心配でいつも考えてしまう

   (6)体調が思わしくない状態(眠れない、疲れやすい、頭が重い、めまいがする、食欲がないなど)が続いている

   (7)自分を責めている。ダメな自分だと思う

   ステップ2「PTSDへの対処法を自ら試みる」。以下の対処法(コーピング)をやってみよう。

   (1)7時間睡眠をとる

   (2)食事をしっかり摂取する。とくにタンパク質、野菜、くだものなどを

   (3)リラクゼーション(過覚醒への対処)で腹式呼吸などをする

   (4)生活習慣の改善、とくにお酒の飲みすぎに注意する

   (5)一人で頑張りすぎてバーンアウトしないようにする

   ステップ3「専門家に相談する」。何よりも大切なことは、体調不良が続くようならば、専門家を訪ね、しっかりと診断を受けることです。

   ご参考までに総合心理教育研究所の「惨事ストレス対策ビデオ」と「リーダーが必ず身につけたいメンタルヘルスの基礎知識」を紹介しておきます。(佐藤隆)

佐藤隆(さとう・たかし)
現在、「総合心理教育研究所」主宰。グロービス経営大学院教授。カナダストレス研究所研究員。臨床心理学や精神保健学などを専攻。これまでに、東海大学短期大学部の学科長などを務め、学術活動だけでなく、多数の企業の管理職向け研修にも携わる。著書に『ストレスと上手につき合う法』『職場のメンタルヘルス実践ガイド』など多数。
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