会社が好調なときに量を取るか質を取るか 経営者の哲学が問われる

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   ついこの春にも三菱自動車の不正が発覚し、その前には東芝や化血研、旭化成建材でも会社ぐるみの不正が表面化したばかり。後を絶たない不正経営に腹立たしい思いの方も多いことでしょう。

   それでは、成功長寿企業では商品量と品質のバランスをどのように考えているのでしょうか。彼らは決して消費者を裏切ることはないだろうと想像しつつ、調査結果を見てみましょう。

3分の1が「どちらとも言えない」

大量の注文が来たらどうする
大量の注文が来たらどうする

   売り上げ好調時に、売り上げの増大を重視するか、好調でも品質を優先するか、経営者の哲学の問題です。結果としては、売り上げ重視はわずか3%、一方の品質重視は18%ですから、圧倒的な差になりました。

   やや売り上げ重視と、やや品質重視をそれぞれに加えると、17%と51%となり、その差は3倍。さすが長寿企業の誠実な経営姿勢が見て取れます。

   ただ、気になるのは「どちらとも言えない」と答えた33%の経営者です。選択肢の中で、もっとも回答者の多かったのがこの「どちらとも言えない」でした。

   これを選んだ方々は、すなわちその時の状況を見て判断する、という姿勢でしょう。経営の現場では、日々いろいろなことが起こります。品質重視を唱えつつも、大量の注文が来たらどうするのか。値段を上げて、注文数を調整してでも品質を守るのか。経営者は常に瞬時の判断を求められます。

浅田厚志(あさだ・あつし)
青山学院大学総合研究所・客員研究員で、長寿企業の経営哲学などを研究中。「出版文化社」代表取締役社長でもあり、創業以来、多くの社史・記念誌の企画制作や、出版企画プロデュースなどを手がけている。著書に『成功長寿起業への道』など。
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