「自分の部屋」を文章に
文章を書くのが苦手な学生が少なくありません。苦手でも、エントリーシート・履歴書に文章を書いていくことになります。文章力の向上も、時間に余裕のある夏休みに取り組みたいテーマです。
文章が苦手な学生にも、いくつかのパターンがあるのですが、多いところで言えば、状況説明と感想・アピールを混同しているパターンでしょうか。状況説明とは、その状況を見ていない人にも分かるように説明することです。
たとえば、私は今、この原稿を大分行きのANAの機内で書いています。大分県立芸術文化短期大学で講演をするためなのですが、その機内の状況を書くとこんなところでしょうか。
「私の座席は機内中央にある非常口の横、飛行方向に向かって右側の席だった。離陸前、客室乗務員が『緊急時にはほかの乗客が脱出する際のお手伝いをお願いします』と伝えてきた。搭乗率はざっと80%程度、ほとんどの席は埋まっている。離陸後の飲み物サービスのとき、客室乗務員を改めて見ると、ピンクのブラウスの人が1人、水色のブラウスの人が2人いた。瀬戸内海上空を飛んでいるとき、気流が悪いのか、少し揺れた」
この文章、面白みも何もありません。まあ、それが状況説明なので。一方、こちらはどうでしょうか。
「機内に着くまでが大変だった。羽田空港の搭乗口は一番端にあり、走ったからだ。とても疲れた。早朝便のため、早起きしたせいもあってとても眠い。うつらうつらしていると、途中で揺れてそれで起きた。機内を見回すと、客室乗務員と目が合い、ちょっと気まずい思いをした」
疲れただの、眠いだの、気まずいだの、これは感想です。感想やアピールはあくまでも主観です。状況説明に求められるのは客観性です。
エントリーシートでいえば、自己PRや志望動機は主観が中心となります。一方、ガクチカは、「自己PRを交えて」との条件がない限り、客観性が求められます。分からない人にも分かるように説明する、ということですね。
こういった文章を書くことに早めに慣れておくと、エントリーシート作成もはかどります。というわけで、夏休み中にできることは何か。
自分の部屋、自宅周辺などを文章にして、状況説明をしてみるといいでしょう。簡単そう? 意外と面倒です。慣れてくれば、新聞の4コマ漫画を文章にする練習も有効です。