京都で始まった僕の「お金を使う生活」 余裕があるはずだったのに(ライフネット生命保険会長・出口治明)

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カレーだって10円玉いくつかで

   若いみなさんはご存じないでしょうが、僕が在学していたころの大学は学生運動が盛んで、僕もデモを見に行ったりしたものです。しかし、普段は本を読んだり、自転車を飛ばして友だちの下宿に行って議論を交わしたり、市電に乗って京都の街をめぐったり、たまに仲間とギョーザを食べて焼酎を飲んだりといった学生生活ですから、それほどお金がかかるわけではありませんでした。学生食堂のカレーだって10円玉いくつかで食べられたのではなかったでしょうか。

   ところが。

   計算上は、1日500円は使えるわけですから十分に余裕があるはず。なのに、なぜか仕送りが振り込まれる3日も4日も前に、銀行の残高が3000円ぐらいになることがしばしばあったのです。そこまで減ると、さすがに心細くなります。2回生になると、先輩の世話で家庭教師や塾の講師などのアルバイトをするようになりました。

   当時、物価が年に5%以上も上がり、仕送りや奨学金はそのままでしたから、徐々に苦しくなるのは当たり前ではあったのですが、それにしてもお金が減るのがはやすぎます。

   いったい僕は何にお金を使っていたのでしょうか。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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