「チャレンジしろ!」と期末の数日で100億円も200億円も売上伸ばせと恫喝するトップが君臨していたのが、日本の経済界を代表する会社だったなんて、どんな穴を掘って身を隠したらいいんだろうと思うほど日本人として恥ずかしい。
旧日本軍の員数合わせ
いつから日本企業の経営者はこんなに数字にこだわるようになったのだろうか。数字偏執狂(パラノイア)のトップばかりでうんざりする。そんなトップには員数合わせで対処してやればいい。とにかくつじつま、数字があっていればいいってことだ。
昔、評論家の山本七平さんがある本に書いていたけれど、旧日本軍では員数合わせがまかり通っていた。戦地へ戦車100台送れということになったら、取りあえず戦車ならなんでも集めて送る。しかし戦地には届かない。途中で輸送船に沈められたり、敵に破壊されたりするからだ。なんとか数台の戦車が届いても故障で役に立たない。
しかし大本営という本部ではちゃんと戦地に戦車100台送ったことになっている。まさに机上の空論だ。これで戦争に勝てっていう方が無理なのだ。これが帳面上だけで数字を合わせる員数合わせだ。
この員数合わせの数字を見て、大本営のトップは、「よしよし」と満足していた。だから戦争にこっぴどく負けた時、あんなに戦車を送ったのになぜ負けた、兵隊が悪いと言って自分の責任を認めようとしなかった。