最近、海外就業体験研修の運営が本業になっているのですが、海外就職研究家として、現地のエージェントの方々と定期的にお話しをして最新情報をいただいたりもしています。
パソナタイランドの方からは、こんな話を伺いました。
「ない・ない・ない」でも幸せに
「数か月前、テレビ番組でタイ就職について放送されてから、問い合わせが多くなったんですよ。でも、その番組を見て応募してくる人の中には紹介できる求人がないケースもあり、ご希望にお応えできない場合も多いんですよね」
そのテレビ番組とは「幸せ ボンビーガール」。2016年4月5日に放送されたもので、外国語もできない、職務経験もない、現地に知り合いもいないけれど移住して幸せになっている人の紹介です。
番組の中でタイは、次のように紹介されていました。
・日本人が移住したい国ランキングで4年連続第2位
・日本企業が6000社以上進出
・タイに住む日本人は6万人以上
・日本語が通じる病院、デパート、スーパー、レストランも充実
この情報は、間違っていません。日本人在住者は、大使館に届けられているだけで6万人以上であり、実際には10万人以上いるのではないかとも言われています。レストランも、ココイチ、大戸屋、モスバーガー、やよい軒などなど、日本のチェーン店をはじめとする日本食レストランがそこらじゅうにあります。(そもそも、レストランなんて日本語が通じなくても注文できるから心配ないと思いますが)。
また、番組で紹介された人は、家賃8.8万円でプール・ジム付き、2LDKのマンションに住んでいるようですが、実際にこういう物件はあります。すごく快適です。ちなみに私も、カンボジアですが、家賃9万円でプール・ジム付き、2LDK、100平米、バストイレが2つずつある家に住んでいます。
「日本語だけ」で高給は無理
問題は、「英語もタイ語もまったく話せないけど、月収16万円の仕事」というところです。
「英語もタイ語も不要な、日本語だけの仕事もありますが、こんなに高い給料は取れません。英語かタイ語か、どちらかが使えるのであればご紹介できる仕事もあるのですが、日本語だけでこの給与水準を望まれても、よほどの専門性がないかぎり、ご紹介できる仕事がありません」
とパソナの方は言います。「幸せ ボンビーガール」を見て問い合わせをしてくる人の一番の問題点は、「英語もタイ語もできないけれど、いい暮らしができる」ということに反応してしまっているところだと思います。
アジアの国で生活すると、同じ額のお金でいい暮らしができる、のんびりとした街で生活できるなど、メリットがたくさんあります。しかし、同僚とのコミュニケーションで苦労をしたり、日本ではあり得ないトラブルが襲ってきたりと、大変なこともあります。
アジア現地採用で求められる英語のレベルは、TOEICでいうところの600点程度からなので、真面目に勉強すれば、どんな人でも1年で到達できるレベルです。しかし、それすらしないで、今のありのままの自分でいい生活がしたいという人は、おそらく現地に来てからも努力をしようとせず、困難に直面したときにすぐに挫折してしまうことでしょう。
これは、日本で就職する場合も同じです。何をやるにも困難は生じるので、それにぶつかったときに乗り越えられるかどうかが、ポイントになります。困難を乗り越える努力こそ、人生を楽しく送れるかどうかの決め手なのです。
具体的にどんな困難に見舞われるか、どんなふうに乗り越えていけばよいかを知るには、私の著書『セカ就!』が参考になると思います。ぜひ読んでみてください!(森山たつを)