成功長寿企業が社員教育の面で、何を大事に考えているかを尋ねたところ、以下のような結果になりました。
会社の理念:74社(23%)
業務知識そのもの:57社(18%)
モチベーションの向上:56社(18%)
商品・製品の知識:48社(15%)
年度の経営方針:24社(8%)
長寿企業の経営者らしく、会社の経営理念の周知がもっとも大事と考えているようです。内容を「業務に直接に関係すること」と、経営理念のような「考え方に関係すること」に分けてみると、149対164。比率では6%の差でした。考え方のほうがずっと多く、もっと差が出てくるものと思っていましたので、意外な結果でした。
実務教育に傾いている
アンケートを採った時期に、同じく非長寿企業11社の代表者にもインタビューをしたところ、「業務知識そのもの」や「商品・製品の知識」など、業務に直結する教育に重きを置く回答が多くありましたので、考え方に違いがあるのは明らかです。
前々回、経営の6要素の中で「技術」に重きを置いている経営者の考え方を紹介しましたが、現在のように競争が激しくなると、長寿企業も会社の考え方を社員に繰り返し教えることよりも、実務的な教育に重きを置く方向に徐々に引っ張られているのかもしれません。「会社の理念」も23%ですから、4分の1に足りませんでした。
創立記念より社員との交流
社内イベントの企画には、その会社の考え方や流儀が明確に表れます。長寿企業では、どんな社内イベントが行われているでしょうか。7つの選択肢から選ばれたベスト3は――。
第1位 経営方針発表会
第2位 社員旅行
第3位 事業部門ごとの計画・実績発表会
ちなみに、他の選択肢は運動会、家族招待パーティ、職場別コンパ、創立記念会でした。
福利厚生である社員旅行を挟んで、1位と3位に事業計画の発表会がランクインしていることから、長寿企業が計画を推進するための研修により多くの時間を割こうとしている傾向が読み取れます。
選択肢にない行事として回答が寄せられたイベントは、懇親いも煮会、そば打ち大会、技術発表会、創意工夫発表会、新入社員歓迎会、QCサークル活動、新年会、誕生日会、ボーリング大会、コンサート、納涼会など。社員との交流を促進するさまざまなイベントが上がりました。
創立記念会を行っているのは全体の25%ですから4分の1にすぎません。記念会に時間とお金をかけることには積極的でありませんが、それぞれ独自のイベントを行っているようです。
お勤めの会社ではどのような行事を行っているでしょうか。どんな行事であっても、会社が公式に認め、または主催している行事は、経営者の意志と無縁ではありません。積極的に参加し、盛り上げに一役買うことが、役職者たちの目を引くチャンスになるかもしれません。(浅田厚志)