契約前に説明された条件がすべて
上に述べた通り、求人広告に応募しても即労働契約締結とはなりません。最終的な労働条件が求人広告と違っていても、それが面接などで説明された労働条件であれば、労働者が納得した労働条件ということになります。
残業しても残業代を一切出さないといったような、それ自体が別の労働法規に違反する条件もありますが、単に求人広告と異なる労働条件というだけでは、労働法規に違反したとはいいがたいでしょう。
たとえ求人広告と違う内容でも、それに合意して労働契約を結んでしまえばその労働条件で働かざるをえません。また、労働は生活の基盤になるだけでなく、職場での人間関係がその人の人生に影響を与えるものです。そのため、労働関係のトラブルは、多くの人との人間関係にも大きな影響を与えかねません。
しかしながら、すでに前の会社を退職してしまっているなどの理由から、契約の段階で求人と違うと気づいても、断ることができないのが現状です。現在検討されている「厳罰化」が実現すれば、完璧とは言えませんが、就職や転職の幅が広がっていくことでしょう。
ポイント2点
●求人広告に書かれた内容がそのまま労働契約の内容になるとは限らず、詐欺罪にはあたらないが、職業安定法という法律に違反する可能性がある
●厚生労働省は「求人詐欺」を行う企業に対して懲役刑を含む罰則を加えることを検討している