求人広告にありえない好待遇ずらずら これって詐欺ではないの?

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弁護士回答=詐欺は難しいが別の法律に違反する可能性も

   求人に書かれていることがほとんど嘘とはひどい会社ですね。

   しかし、質問にあるような行為が詐欺に当たるかというと、ちょっと難しいかもしれません。詐欺は、人をだまして財物、または、財産上の利益を得るものですが、求人広告に書かれた内容がそのまま労働契約の内容になるとは限らないからです。

   求人広告は、申込みの誘引、つまり、「この会社に応募してください」というもので、それに応募したからと言って、即労働契約が締結されるわけではありません。労働者が応募した後に、面接や説明会などがあって、そこで使用者が労働条件を説明して労働契約が締結された場合、そこで説明された労働条件が労働契約の内容になります。

   つまり、質問者の労働条件が求人広告の内容と違っていても、それが面接や説明会で説明された内容であれば、質問者は納得の上で働いているということになってしまうのです。そうすると、求人欄に嘘を書いただけでは詐欺とはいいがたいということになります。

   では、完全に合法かというと、職業安定法という法律に違反するかもしれません。この法律は、企業による労働者の募集等について規制している法律で、職業紹介に当たって労働条件を明示しなければならないと定められています。

   なお、厚生労働省は、「求人詐欺」を行う企業に対して懲役刑を含む罰則を加えることを検討しております。具体的には、固定残業代などがある場合はきちんと明記するよう指針を作成することや、実態と異なる求人をハローワークなどに提出した企業に対する罰則の強化を検討しているとのことです。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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