日本の廃墟は長崎やら旧温泉街やらにあり、東京のど真ん中にはあまり見当たりません。しかし、私が住んでいるカンボジアの首都、プノンペンのど真ん中には、とんでもない廃墟がそびえ立っています。
その名も、ゴールドタワー42。
映画の決戦舞台になりそう
完成予想図のような燦然と輝く黄金のビルが建つ予定だった場所は、プノンペンの街を南北に貫く目抜き通りモニボンストリートと、(カンボジアにしては)お洒落なブティックが建ち並ぶシアヌークストリートが交差する、まさに一等地。「建つ予定だった」っていうか、一応は建っています。
それも、写真のように長らくの間コンクリート剥きだしの状態で放置され。映画なら善玉とギャングの決戦の舞台にでもなりそうな工事現場が、東京で言うところの銀座の四丁目にあるような感じです。
このゴールドタワー42は、韓国系の企業が2008年に建設を始めました。豪華なモデルルームと模型により販売を始めたのですが、同年、その企業が倒産し、2009年に工事が中断。その後、再開するも2012年にまた中断。翌2013年に再開され、2015年3月に再び中断と、めぐるましく中断と再開が繰り返され、劣化したコンクリート剥きだしのその姿が巨大廃墟の風格を漂わせています。
2016年2月には4度目のリスタートをしておりますが、まあ、周りの興味は、「今度こそ完成するか?」よりも「今度はいつ中断するか?」のほうに集まっていますが。
素人目にヤバいビルも
これぞ発展途上国という感じで、次々と高層ビルが建設されているカンボジア・プノンペンですが、ゴールドタワー42のように建設がうまく進まないものもたくさん出てきています。これは明らかにヤバいだろう......と素人目にも分かるビルもガンガン建っているので、カンボジアに投資をしようとしている方は、ぜひ現地に来て、自分の目で周りの環境を確認してから購入することをお勧めします。
人が住むところに、廃墟あり。
廃墟が生まれた背景から、その土地の特色をうかがい知ることができます。廃墟マニアの気持ちが、ちょっと分かってきました。(森山たつを)